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第80回 日本生物教育学会で鳩貝太郎研究班は以下のことを報告しました
「高校生物教師の意識の全国調査」の中から「生命尊重の教育に関する部分について」
○「身近な生命現象と関連づけた指導」,「自然体験を重視した授業」,
「生命科学関連の視聴覚教材の多用」,「動物飼育や栽培の取り入れ」などは教師の
80%以上が肯定的である。
○ しかし、自身が高校の時に、実験観察をしていない教師は、授業にそれを入れない傾向がある、
(若い世代に体験が少ない傾向がある)
○教師への研修としてのぞむのは「生命尊重の心情を育成する指導の充実のための研修として
「野外観察や調査の方法」「動物飼育や栽培活動」「動物の解剖」などは教師の
70%以上が肯定的である。
○生徒に対して「高校で生命尊重の心情を育成するために高校入学までに経験して欲しいものは
「野山などでの自然体験」「ほ乳類や鳥類の飼育」続いて「魚類や両生類の飼育」である。
考察: 高校で実験観察の体験が乏しい高校教師は、実験観察をしない傾向が強い。これを負の方向に回さないように、小・中学校教育、高校教育、教員養成、教員研修など、それぞれの場で工夫・努力していかなければならないだろう。
なお、高校入学前に得ておいて欲しい体験にほ乳類の飼育が重要視されたため
中川等が「小・中学校,幼稚園での動物飼育に対する獣医師の支援の在り方とその広がり」を報告した。
○ 子そだて家庭での動物飼育率が低下しているため、小学校等における動物飼育が重要である。
○ しかし,動物飼育の教育効果を高めるためには,それが適正に行われる必要がある。
○ そのため,平成10年以来,全国各地で地域獣医師会と連携事業を行う自治体,教育委員会が目立ち、我々の調査では,平成17年度10月現在,28県にわたる112自治体(700市区町村)が獣医師会と何らかの連携事業を行っていた。その地域で獣医師会がカバーしている小学校等は6000を超え,これに係わる動物病院の獣医師は3000人を超えている。
○ 命の大切さについて、愛着を培った動物との別れで充分に感じさせることができる。子どもは「なぜ死んだ」と悲しがり、自分たちの世話の仕方が悪かったかと、逡巡する。その時に、獣医師が解剖して死因検索して説明すると、子どもは課題を検討できたり、あるいは癌などのばあいは、仕方のないことだと自然に知識を得て,かつ死を納得して受け入れることができる。
ただし、愛着が培えてない場合や、子どもからの「なぜ死んだ?」との強い疑問がでないばあいは、このような扱いは難しい。
飼育では、子どもに動物への愛着を培わせることが、重要である。そのためには、導入授業で動物への関心、理解を深め、また抱っこ体験をさせて親しみをわかせる、そしてなにより世話の楽な動物を少数だけ、丁寧に世話させるようにして、大変すぎる飼育を子どもにさせないことが大事である。
(ちょっとの世話と、たっぷりのふれ合いが成り立つような飼育をさせるよう、獣医師の知恵をかりると良いだろう)
○ 現在、9割の小学校では,このような貴重な宝を飼っている。獣医師と連携して充分に活用して欲しい。
報告者
鳩貝太郎(代表研究者・国立教育政策研究所),梅埜國夫(前中村学園大学),小林辰至(上越教育大学),武倫夫(群馬県教育委員会),高野義幸(千葉県総合教育センター),鈴木誠(北海道大学),中村清志(群馬県総合教育センター),藤 修(国立教育政策研究所),吉崎誠(東邦大学),田代直幸(国立教育政策研究所),中川美穂子(全国学校飼育動物獣医師連絡協議会),高橋信子(川崎市立野川小学校),
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生命尊重に関わる指導や学校の飼育動物を大切にする指導などついての意見が多く出ていた。日本生物教育学会としても生命倫理委員会を発足させ,生命尊重の指導のあり方について検討を開始することになった。
コーディネーター 都 築 功(生物教育学会副会長 東京都立玉川高等学校副校長)
田 代 直 幸 (文部科学省教科調査官)
渡 辺 採 朗 (神奈川県立山北高等学校 教諭)
古 川 和 (ジャパンGEMSセンター事務局長)
元 村 有 希 子 (毎日新聞記者)
日本生物教育学会第80回全国大会
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