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<口蹄疫と獣医師の役目> 2010.06.16 中川美穂子
口蹄疫、早く収拾すると良いのですが、毎日現地では 牛や豚の処分と埋却が行われています。
先日、政府が、役所や大学や学生までも入れてでも、獣医師を100名単位で現地に送り、一日1万頭の埋却に当たらせたいと発表したと
新聞にありました。
獣医師会も 支援者を募っており、小動物診療獣医師も入れて100名以上の応募者を用意しています。
獣医師の役目は、余人では出来ない仕事。
衛生指導の他、ワクチン投与や、動物の処分を(牛や豚を、静脈注射で薬殺)しなくてはなりません。それには、経験のある獣医師が必要です。
乳牛は 人に触られることになれており、処置が必要な時には鼻輪を人がつかんで、動かないように牛を補えることができますが、肉牛は
鼻輪もなく、人に触られることも嫌い、逆らう傾向が強いのです。しかも沢山の肉を取るために、体も大きく育てています。
獣医師は、その太い首を片手で抱えて、首の血管に静脈注射するのですから、慣れた人でも大変なことで、大動物の経験が少ない獣医師
にとってはなおさら困難な作業と言えます。
実際に、支援獣医師が牛に処置するとき、重傷を負った事例も報告されているのですから、一日に1万頭も出来るわけがないと思われます。
おとなしい犬相手でも、一人で一日100頭は無理な数字です。
今、日本の獣医師は、全国で約35000人、 内 小動物診療は13000人、大動物診療は、個人、市町村や県などの団体を含めて4000人弱、
他に 農水の都道府県の家畜保健衛生所には全国で2000人の獣医師がいます。
(残りは、国や地方の行政職、大学や研究機関、人の保健所、薬剤会社など)
もともと大動物臨床関係の獣医師の数が不足していると、近年問題になっていました。偏差値教育を受けた新獣医師は、多くの場合、
小動物開業に流れてしまうことが言われています。
また、地域の畜産振興の期待を受けて大学に進み、卒業後、大動物臨床関係に就職しても、辛い、給料が安いと、小動物に変わる人も
いるようです。
今回の状況をみて、
国の食肉供給の根幹を支える大動物診療獣医師の待遇を根本的に見直し、十分な人材を確保できるようにして、諸外国からの様々な
伝染病を防ぎ、国内の牧場をモニターして、進入した時点ですぐに撲滅できるようにと、希望します。