ペットを飼っていて妊娠をすると、「お腹の子に悪いからペットを飼うのをやめなさい」と言われることはありませんか?
特に初産の方に多いようですね。
そして愛するペットと別れなければならない思いに心痛めるのです。
では本当にペットは危ないのか。
いいえ、とんでもない(^^)
これは何も妊娠したからと言うのでなく守らなければいけないことですが、キチンとした知識を身につけていくつかの注意事項を守れば、安心してペットと赤ちゃんの誕生を待つことが出来ます。
以下、今まで獣医さん達に伺ったお話や経験をもとに、お話してみますね。
(一応この文章は、何人かの獣医さん達にチェックしてもらいました。)
一番皆さまからの相談で多いのが「ネコのトキソプラズマ」でしょうか。
これはトキソプラズマと言う原虫(細菌やウィルスのように小さい)が、ネコの排泄物から人に感染すると流産や奇形が生ずる、と言うものです。
ではどういうときに流産や奇形になるのか。
一度に大量に感染する→流産。
妊娠初期に感染した場合→水頭症の赤ちゃんの可能性
と言うわけで、子供が出来たと言うと回りの人は「ネコを飼うのはやめなさい」と言うのです。
また産婦人科でも妊娠発覚直後のトキソプラズマ検査の結果で高い抗体値を持っていると、お医者様は堕胎を勧めてしまったりします。
ここでポイント。
トキソプラズマは妊娠中の感染が問題である。
そうです。「妊娠中に初めて感染する」のが問題なのであって、妊娠前に感染し、すでに抗体がある場合は問題なし、なのです。
ですから産婦人科の検査で高い抗体値が出ても、2〜3週間後に再検査をして4倍とか8倍とかに抗体値が上昇していなければ、これは古い感染であり、赤ちゃんへの心配はありません。
1回で古い感染か新しい感染か分かる検査もあるそうですので、そのあたりは産婦人科で相談してみてください。
中には「長いことネコを飼っているから抗体はあるはず」と思っていらっしゃる方、私も10年ほど一緒でしたが、妊娠直後の検査は陰性でした。
ネコが感染してなければ、人に抗体の出来るはずもありませんね。
ですから必ず検査は受けて下さい。
次に感染が認められなかった場合、次のことを頭に入れてください。
・ 感染源はある一定の時期しか排せつされない。その時にはネコの具合も悪い。
・ 人間への感染性を有するまでには排せつ後48時間位の時間が必要。
と言うわけで、まさか室内飼いの場合にはそんな長い時間ウンチを放置しないでしょうから、心配無し。
外飼いの場合はお庭でするでしょうが、慎み深いネコは必ず土の中に埋めますので、ガーデニングなどで土いじりをするときには気をつけましょう。
いずれにしてもネコのトイレの掃除は家族がしてあげたり、本人がするときは炊事用の手袋をしたり、手洗いを慣行したりの安全策をとりましょう。
さてネコのトキソプラズマ以外には何が心配でしょう。
これはもう妊婦さんでなくとも気をつけなくてはならないお話。
オウム病やサルモネラ菌、結核その他雑菌、アレルギー等々。
・ まずは飼っているペットの健康を守ること。
定期的に獣医さんで健康診断をしてもらうことは、大切なことです。
第一、 健康なときにカルテを作っておくと、いざというときにペットのためにもなりますし、普段から獣医さんにペットが慣れておくことも大切です。
また、シャンプーしたりブラッシングをしたり爪を切ったりと、要は人間と同じに体の清潔を守る事も忘れずにしてあげましょう。
食生活も大切。生の材料を餌に使うときは良く火を通して下さいね。
・ 出来るだけ外出させない。
犬はお互いに予防注射などをしていますからまだ良いのですが、ネコは野良猫もいますので、ネコエイズや白血病等も心配です。
出来たら室内飼いが安心。
ネコは室内飼いでもストレスが少ないそうですよ。
要は外の動物から感染させない注意が、必要だと言うことです。
・ ペットと過度の接触をしない。
口移しで食べ物を与えていませんか?
以前見たTVでは、自分のお箸でペットに御飯をおすそ分けしていて、病気になった人が出ていました。
こうした事は健康な人は平気でも、抵抗力のない人(お年寄り、子供、病気中の方等)や抵抗力が落ちている時(妊婦さんも)は感染する危険性があります。
いずれにしても口移しや食器の共有は健康な人でもやめましょう。
その他キスをする、一緒に寝る…これはするなとまでは言えませんが、人が感染しやすい状態のときはやめましょうね。
・ 手洗いの慣行。
これはもう説明はいらないかと。
感染予防の第一歩です。
特にトイレ掃除・ケージ掃除・ペットの食器をいじった後等は念入りに。
動物に触った後や食事の支度や食事前の手洗いは、しっかり習慣にしてしまうと安全ですね。
・ 赤ちゃんとペット
これは出産後のことですが、赤ちゃんとペットが一緒にいるときは、大人が必ずそばにいるようにしましょう。
精神状態が安定しているペットは、赤ちゃんを受け入れる状態になります。
生後間もない赤ちゃんにペットが触れることは制限しなくてはなりませんが、新しい家族を認識させることも大切です。
特に犬猫はちゃんと認識することも可能です。
我が家で言えば、初めて赤ちゃんを家に連れ帰るとまずは「ほら新しい家族よ」と見せました。
その後愛猫が赤ちゃんを舐めたり乗ったりする事もなく、いつもベッドの側で見守る様に寝そべっていました。
またこのネコはかなりきつい性格の人嫌いな雌ネコでしたが、不思議と子供には寛容で、訳も分からずしっぽや体を握って振り回す子供にジッと耐えていました。
その時の困ったような顔は今でも忘れられません(^^)
子供にとりペットと言うものは、時として人間の大人では埋められない心のすき間や傷を癒してくれる事があります。
そうして命を大切にする心も育てて行くのですね。
ですから、衛生面や安全面に気をつけて、心豊かに一緒に暮らしていきたいですね。
ウチは大丈夫。そう言っていて何かあってからでは、人も動物も不幸になります。
愛するペットとともに出産を待つことは嬉しいものです。
特に初産婦さんでは、ペットと一緒にいる事で心が安らぐというメリットは大きいものです。
つわりで苦しいとき、マタニティ・ブルーのとき、彼らにどれほど慰めてもらえるか。
犬猫をなでるとき、小鳥や小動物の仕種にほほ笑むとき、人は穏やかな気持ちになり血圧も心拍数も安定します。
お腹の子供にも良いことですね。
家族や愛するペットと、やがて生まれる家族を待つ日々は、暖かい日だまりにも似ています。
周囲の皆さんも、ペットが妊娠に及ぼす危険性ばかりにとらわれて、妊婦さんを不安定な精神状態にしないように、理解・協力して上げて下さると嬉しいです。
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