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獣医師広報板のキャラクター:ココロちゃん「ブルセラ病が治るか治らないのかの議論」が必要ない理由
文章−パールちゃん・りんママ・プロキオン(獣医師) 初出:2007/03/17
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Q:「全国の飼い主のみなさんへ、ブルセラ病には冷静に対応しましょう」(パソコン版モバイル版)を読みました。
プロキオン先生は「ブルセラ病は治ります」と書いていますが、そのままだと「治る」の解釈が混乱を招いて感染を拡大させたりするのではないですか?

A:ある犬がブルセラにかかった、適切な投薬と飼育管理をすればその犬はブルセラ菌で死ぬことはない、私は「治る」をこの意味で書きました。一般の家庭の犬がもしブルセラ病にかかってもすぐに処分という結論を出してほしくないからです。ただ、おっしゃる通り、誤解を与えやすい書き方でした。ブルセラ病についてよく知ってもらうために以下に補足します。

ある犬がブルセラにかかった、適切な投薬と飼育管理をすればその犬自身はブルセラ菌で死ぬことはない、このことを「治る」というのは間違いではないと思います。
ただし、ブルセラ菌はその犬の体内に残っています。
つまり、その犬が死ぬまで、ブルセラ菌をもっているものとして飼っていかなければならないという意味では「治る」は当てはまりません。
ここがいちばんブルセラ病のやっかいなところです。
治るか治らないのかの議論では片づけられないのがブルセラ病なのです。
そのへんのこと正しく理解しておかないと、ただ「ああ、治るんだ」となってしまって「家庭における治療だって生半可ではない」という事実が伝わりません。

ブルセラ菌を抑え込むには抗生物質を使います。
抗生物質の連続かつ長期の投与、それは犬にとって楽なことではありません。
抗生物質は体内で役に立っている菌まで殺してしまいますから、おなかの不調や抵抗力の低下によって日々の苦痛を犬は味わうことになります。
また、免疫力が低下したり、抗生物質の使用過多によって耐性菌が生まれたりもしますから、感染犬1頭の体のなかだけについてもこれらさまざまな問題を抱え続けて飼っていかなければならないのです。
もちろん繁殖にはぜったいその犬は使えません。

そしてさらにブルセラ病がやっかいなのは排菌のことです。
その犬自身は見かけ上なんともなくても菌を外にばらまいてしまうのです。
外に運動に出せませんから、どこでどのように飼うかが大きな問題となります。
飼育する飼い主さん自身が感染したり、菌の媒介者になって感染を外に広げてしまう可能性もあります。
診てもらう獣医さんを感染症の危険に巻き込むことにもなりますから、診てもらえる獣医さんを確保するのは大変ですし、獣医さんが診てくれなかったら定期的な検査や投薬ができません。
このように、犬だけではなく、飼い主さんも獣医さんも大変な思いをし続けてのうえで飼育は可能になるのです。
これらを理解すればブルセラ病の犬を家庭で飼い続けることはできます。
しかし、あらかじめ理解したつもりでも先々どんなことが起こるかわかりません。
そのすべてを引き受ける覚悟があるならば(覚悟だけでなく環境も経済力も周囲の同意も必要ですが)、もしあなたの犬がブルセラ病だとわかっても処分する必要はまったくないのです。

狂犬病なら、発症犬はじきに死に、排菌の問題もそこで終わります。
が、ブルセラ病はそうではありません。
一度感染した犬は見た目は元気そうに生きたまま菌を出し続け、感染拡大の懸念はその犬が死ぬまで続くのです。
これはある意味、狂犬病よりも脅威です。
ですから、血液検査で陰性と出てもそれで安心するわけにはいきません。
検査と投薬、周囲への配慮は一生続くのです。


注意:以下の文献引用は、出版のインターズー社より書名の明記・出版社へのリンクを条件に掲載許諾を得ています。

「犬の診療最前線」 長谷川篤彦監修 1997年7月28日第1版第1刷 Inter Zoo http://www.interzoo.co.jp/
ブルセラ症 brucellosis  P410-P411
T.定義・概念
 Brucella属は,1855年, D. Bruce により分離された菌であり,ブルセラ症は重要な人獣共通感染症(zoonosis)の1つである。ブルセラ症の起因菌は,B.abortus(ウシ流産菌),B.melitensis(ヤギ流産菌),B.suis(ブタ流産菌)などがあるが,一般的に犬における原因菌はB.canisである。
■形態と染色性
 偏性好気性で大きさは0.5〜0.7×0.6〜1.5μmの短桿菌,グラム陰性で鞭毛はなく芽胞もつくらない。ブルセラ症は,交尾あるいは経口的に感染し,侵入した細菌は所属リンパ節から血管に入り,各臓器や生殖器で障害を現す。さらに妊娠犬の場合流産が生ずる。

U.診断基準
 全身感染があっても成犬はめったに深刻な病状にはいたらない。発熱をみることがまれにあり,また全身リンパ節の肥大を認めることもある。
■症状
1.交尾欲の減退。
2.雄における主要な特徴は精巣上体,前立腺の炎症に伴う腫大と精巣の萎縮であり,不可逆的な繁殖障害に陥る。
3.炎症を伴う刺激のため,局所をなめるなどの行動によると思われる皮膚病変もみられる。精液の異常としては精子の未成熟,奇形などがみられる。
4.妊娠犬では,妊娠40〜60日の間に普通自己融解を起こしている胎子を流産するが,他には臨床症状はみられない場合がほとんどである。そして,罹患した動物は何度も流産を繰り返す。
5.まれに,生殖器官以外の異常として脊髄の知覚過敏症,全身麻痺,手足の麻痺などを呈することがあり,ぶどう膜炎なども報告されている。

■血清学的診断法
1.高グロブリン血症と同時に起こる低アルブミン血症が慢性に経過しているブルセラ症の犬で認められる。
2.急速凝集スライドテスト(RSAT),試験管内凝集テスト(TAT)などの抗体を検出する方法がある。しかし,感染後最初の4週間においては偽陰性反応が必ず起こってしまう。

■細菌学的診断
 血液,流産胎子,リンパ系組織の生検から菌を分離することで確定診断出来る。この場合,通常の培地ではあまり発育せず,アミノ酸,マグネシウムを要求する。血液,血清を加えると発育はよくなる。約1週間で,帯青色で真珠様の光沢のある特徴的なコロニーを作る(表1)

表1 ヒトに感染するブルセラ菌種の性状
菌種 CO2要求 H2S産生 ureas産生 酸化的分解
glutamic acid ornithine ribose lysine alanine xylose arginine
B.canis ++ −〜+
B.melitensis ±〜+
B.abortus +・ −〜+ ± −〜+
B.suis −〜++ ++ −〜+ −〜+ −〜+

V.治療方針
 一般に治療は困難であり,B.canisは細胞内に存在するために一般的に抗生物質の投与を行っても,治療を中止すると再発してしまう。このような理由で反復的経過をたどることが知られている。
1.テトラサイクリン(20mg/kg t.i.d.) とストレプトマイシン(20mg/kg b.i.d.) を経口投与で併用する。
2.ゲンタマイシン(2〜3mg/kg s.i.d.) を筋注で1週間投与し,高容量のドキシサイクリンもしくはミノサイクロン(50mg/kg b.i.d.)を2週間投与する。
3.ミノサイクリン(1.25mg/kg b.i.d.)の経口投与とデヒドロストレプトマイシン(5mg/kg b.i.d.)筋注の併用。

W.診断の要点
 一般症状に欠ける疾病であるため診断は難しい。しかし獣医師は,原因不明の流産を繰り返すような犬には十分な注意を払い,また自分自身の身を守るためにも,一番の感染源である流死産胎子などは素手では絶対にふれないようにすべきである。
 罹患した動物は公衆衛生面から考えて安楽死するか,もしくは完全に隔離して定期的な血清力価を検査した上で治療をすすめていくかを考えるべきである。

X.その他
以下の文献が参考になる
参考文献
・Textbook of Veterinary Internal Medicine 4th ed., Stephen J. Ettinger and Edward C. Feldman, eds., Saunders,1995.

管理人注:獣医師広報板では以前よりブルセラ症とブルセラ病の両表示を使用してきましたが、2010年10月17日よりブルセラ病に表記を統一しました。

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