獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-199803-107

やっぱり、問題になると思います
投稿日 1998年3月31日(火)19時26分 プロキオン

3月31日の伊藤さんへ

最初にまずお断りしておきますが、伊藤さんの質問は農水省か厚生省へする
べきだと思いますよ。
話の行きがかりから私がレスを付けますが、私は一介の町の獣医師ですので
伊藤さんとは情報の源は同じはずですから。

おっしゃられているのは、未認可というよりも密輸ワクチンという意味です
よね。未承認ということであれば、現在国内に流通しているワクチンもフェ
レットに対しては認可されていませんので。

薬事法を読まれたようですが、逐条解説をいっしょに読まれた方が良いでし
ょう。条文そのものは内容確認のためにだけあるようなものですから。厚生
省や農水省の関連出版社から発売されています。両省の売店に行けばもっと
早いのですが、住所が不明ですので。

 まず、第83条に厚生大臣と農林水産大臣の読み換え規定がありますので、
薬事法全体が動物用の医薬品に適用されます。

 密輸入ワクチンは、41条(日本薬局方)42条(医薬品の基準)43条
(検定)に該当していません。当然ながら、14条の1(医薬品の製造承認)
2(新医薬品の再審査)3(再評価)も無視しています。
したがって、(医薬品の定義)である第2条に違反していることになります。

 さらに外国製品ですから、19条の2(外国製造医薬品の製造承認)と22
条(輸入販売業の許可)に違反して国内に持ち込まれたことになります。
販売方法も薬局薬店を通していないので、37条の(販売方法の制限)違反に
も該当します。

また、ワクチンは通常「劇薬」で「要指示薬」ですので、44条〜49条にも
触れるのではないでしょうか?  ただし、この辺は密輸している者が獣医師
であれば見解が分かれるところですが、摘発を受けた際にはやはりいっしょに
なると私は思います。
そして、日本国内で製造されていないため、第50条(直接の容器の記載事項)
52条(添付文書の記載事項)53条(読みやすい用語の使用)等は望むべく
もないことです。
 故に、第55条:「前5条の規定に触れる医薬品は販売・授与・貯蔵・陳列
         してはならない」
 と直截に薬事法違反の事実につきあたります。

とまあ、ここまでこなくても、第83条の2に(動物用医薬品の使用の規制)
がありますので、その中の1項2号を読めば、
 「医薬品の使用者は当該基準により当該医薬品を使用しなくてはならない」
とあります。この項目には例外規定がありますが、密輸品をやむおえない例外
として認めてくれる農林水産大臣はいないはずです。

そこで薬事法を逃れるために密輸ワクチンは「医薬品」ではなく「健康食品」
であるとか、フェレットは獣医法や獣医療法の対象になっていないとか思いつ
きそうですが、
 注射自体ははっきりと医療行為ですし、経口投与するというのはフェレット
 飼育者をあまりにバカにしていないでしょうか?
 また、獣医療法の2条における飼育動物には その後の畜産局長通達で言い
 逃れできないようになっています。

国内に流通しているワクチンの場合は、フェレットにも使用できますと書くと
薬事法第54条(承認外の効能効果の記載の禁止)に触れてしまいます。
では、現状の使用の実態はどおなるかというと、
 鳩に対しての鶏のニューカッスル病ワクチンの適用が参考になるかと思いま
す。今までに出ている局長通達の中から捜されるとよろしいのでは・・・。

しかし、こう長く書いてきましたが薬事法などはまだ小さい問題なのかもしれ
ません。密輸である以上は通産省関連の法律や司法関連の法がもっと厳しいの
ではないでしょうか?
こちらについては、しかるべきところに聞いて下さい。

本当に「フェルバック」でなくてはならないというなら、無料でワクチン接種
をするべきでしょう。国内のワクチンでは危険だから私のワクチンを接種しろ
では単なる利益誘導にすぎないと私は考えています。
昨今は「密輸ワクチン」という単語が使用されるようになってきていますので、
「フェルバック」を接種して貰っている飼い主もいつまでも善意の第三者とい
うわけにもいかなくなると思います。

城戸先生、もしご覧になっていたなら、先生の意見も聞かせて下さい!!

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