獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-199906-213

ウサギにホスホマイシンは慎重に
投稿日 1999年6月18日(金)11時51分 プロキオン

>くまこさん、くららさん

せっかくのご提案ですが、私は「ホスホマイシン」のウサギへの使用
はお勧めできません。

ホスホマイシンは放線菌から造られ、細菌の細胞壁の合成阻害により
殺菌的に作用する抗生物質です。広い抗菌スペクトルを有しています
が、その適用は消化管内の細菌を主としており、耐性が生じにくいの
で、0ー157やサルモネラ等を対象とするのが昨今の使用かと考え
ています。
このホスホマイシンの利点がどうもウサギに対しては逆にマイナスの
作用として働くのではないかと私には危惧されます。ご存じのように
ウサギは抗生物質の選択を誤ると大変なことになりますから、その安
全性を確認できないうちは、使用しない方がよりベターな選択なので
はないかと考えます。

日本小動物獣医師会が出している薬用量マニュアル(第2版)からは
除かれています。デービスのマニュアルにも記載がありません。
私自身はホスホマイシンをもっていますが、非常に限定した使用しか
しておりませんし、県内の他の獣医師でも2〜3名しか出ていないと
薬屋さんから聞いています。
理由は消化器系の副作用を心配してのことのようです。つまり、ホス
ホマイシンに頼らなくても十分に他の抗生剤で対応可能だからという
ことだと思います。
犬・猫においてもこういう状況ですので、ウサギに対しては慎重であ
りたいと考えます。使用する場合でも、局所的な限定された使用から
試された方が良いと思います。
 #局所用のホスホマイシンでしたら、動物用薬でもあります。

これを書いていて気になったので、「エキゾチックペット研究会」か
ら貰ったウサギの抗生剤の使用方法も見てみましたが、やはり推奨薬
剤にはなっていませんでした。

本当は開発過程における毒性試験にウサギを使用した成績が入手でき
れば、どの程度の危険性なのか推測もできるのですが、私のもってい
る使用説明書にはこの部分にかかわる記載がありませんでしたので、
具体的な危険性を指摘するのにはいたっておりません。
したがって、私の個人的な心配事ということになります。

実際に使用して副作用もなく効果があったという症例がありましたら
、私の心配も杞憂にすぎなかったということになりますが。

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