獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200003-166

レス、糖尿病の多飲・多尿
投稿日 2000年3月18日(土)15時35分 プロキオン

まだ、忙しくてレス付け復帰に時間が掛かりそうなのですが
気になる書き込みもあるようなので。

3月13日の くろねこさんへ
糖尿病で水が欲しくなり、尿量が増えるメカニズムと改善の
可能性をお尋ねですが。
糖尿病という疾病がまず分かっているようで分からない病気
なので、上手く説明できないのですが。そもそも「糖尿」と
いう言葉がおかしいのであって、本来は血液中の高血糖状態
が問題になるのです。

何故、高血糖が問題かといえば、糖にも細胞障害作用がある
からです。ブドウ糖が細胞膜を自由に通過できないソルビト
ールに変化してしまい、これが細胞内浸透圧を上げて「細胞
の水膨れ」を起こす点が1つ。
蛋白質のアミノ基とブドウ糖のアルデヒド基が結びついて、
これが細胞を障害する点が2つ目。
そして、細胞障害性以外にも処理しきれないブドウ糖がケト
ン体に変化して血液を酸性化して「ケトーシス」を引き起こ
す等があります。
(ケトーシスの問題点は今回は省略)

この細胞障害性の作用こそが、そのまま多飲・多尿として発
現することになります。特に腎臓で浸透圧性利尿がはじまり
ますと脱水や代償性の多飲に拍車がかかります。体の細胞が
水を要求しても、飲水が問題解決にならないからですね。

改善できるのかという問いに対しては、糖尿病の疾病タイプ
にもよりますが、可能と考えます。治ると言う意味ではない
ことは付け加えておかなくてはなりませんが。

糖尿病には、自己免疫によって膵臓が破壊される「1型」と
末梢臓器におけるインスリン抵抗性が生じて発生する「2型」
とがあります。これらは同じく糖尿病とされていますが、成
立過程がまったく異なっていますので、当然対応も違ってき
ます。
1型では膵臓のβ細胞の90%が破壊されて症状が出てくる
ようです。したがって、相当に進行してからでないと疾病と
して認識されない傾向があります。
2型では末梢臓器でのインスリン抵抗によって、ブドウ糖の
障害作用が現れ、これがまたさらなる問題をおこすという過
程に入っていきます。

糖尿病では、この他にインスリン依存型・非依存型のような
分類もありますが、こちらは病態による分類です。ただ、臨
床の場では明確に区分されずに用いられていることが多く、
しばしば混乱も見られます。なかなか改善が見られないとい
う事例の中にはこういうこともあるのかもしれません。

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