獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200004-126

マルチレス
投稿日 2000年4月12日(水)15時09分 プロキオン

狂犬病予防接種のシーズンが始まっていますので、あまり顔
だしができませんが。

4月12日の鈴木さん
猫の薬物中毒についてですが、すでにレスがついていますが、
私の方から少し補足します。

猫における薬剤の吸収・分布は犬と類似していますが、代謝は
際だって異なっています。
そもそも、薬剤は体内に入ると酸化・還元・加水分解等作用を
受けて変化していきます。通常は「抱合」によって水溶性とな
り、体外へ排泄される過程をとります。この時に「グルクロン
酸抱合」を行うのが主な動物のシステムなのですが、猫ではこ
の際に必要な酵素(グルクロニルトランスフェラーゼ)が非常
に少ないため、この能力に限界があるのです。このために猫は
薬物中毒が発生しやすいと言われています。
例をあげると、
 アセトアミノフェン、アスピリン、ベンゾカイン、ジアゼパム
 プリミドン、モルヒネ、イブプロフェン等
 消毒薬では、ベンジルアルコール、フェノール化合物等
 抗菌剤では、クロラムフェニコール、ストレプトマイシン、テ
       トラサイクリン、サルファ剤等
 この他、有機リンにも感受性が高く、亀の子と言われた塩素炭
 化水素系にも弱く、抗真菌剤にも弱いです。

これらは、まだ1例にすぎません。「猫は小さな犬ではない」と
言われる所以です。

ただ、残念なことにこれらのことは1冊の教科書に記載されてい
るわけではなく、何冊もの本を読み、人に教えを請い、一つ一つ
の薬剤の使用説明書を丹念に読んで、初めて身についてくるもの
なのです。臨床医が24時間医療をやっていられないのも、これ
ら勉強をする時間が必要とされるからです。


あららさんへ
ウサギの臼歯が根先方向へ伸びていくというのは、私は珍しい症
例とは考えておりません。
この場合、根尖膿瘍を併発して発見されることが多く、その時点
で顎の骨の変形を伴っていることが多いようです。臼歯を抜歯した
いと考えている先生は多いのですが、歯根を残すことなく抜くとい
うのはウサギの口腔構造と骨の脆さからとても難しいことなのです。

こちらの獣医師フォーラムに参加されている先生は抜歯する機会が
あったそうですが、お話を伺った限り、どの症例にもというわけに
はいかないようです。
もう少し詳しく検査して欲しいというのであれば、セカンドオピニ
オンを求めるのも良いかもしれません。
書き込み内容から判断するかぎりでは、勉強されている先生のよう
に思えます。近場で転院先を捜すのは難しいかもしれません。逆に
主治医の先生に遠くても良いからとお尋ねした方が早いかも。

4月11日の けえきさんへ
甲状腺機能低下で免疫不全というのが、ちょっと気になります。
甲状腺ホルモンは新陳代謝を司るホルモンですので、このホルモン
剤を服用していての免疫機能が低下というのは理屈から言うと少し
変です。
副腎皮質ホルモンが過剰になると、新陳代謝が抑えられ、免疫機能
も抑制されてきますが、こちらの検査はされていますか?
つまり、副腎皮質ホルモンによって、甲状腺機能が抑えられている
可能性は否定できているのでしょうか?

これらは本来まったく別の疾病なのですが、ホルモンの作用が相反
するため、見かけ上は同じように見えます。
甲状腺ホルモンの不足では、記載されているような問題はあまりな
いのではというのが個人的な経験からの意見なのですが。むろん、
直接診療していない者の意見ですから、そのつもりお聞き下さい。

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