獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200006-450

RES:幽門機能不全及び診断根拠の確認
投稿日 2000年6月30日(金)12時21分 プロキオン

>TINAさん
幽門機能不全は胃の幽門部が痙攣性あるいは搬痕性の収縮を起こ
すために、食物の通過障害が生じることを言っています。胃の通
過時間を経過しても食餌が十二指腸へ送り出されないので、食後
2〜3時間くらいで逆流性に嘔吐することになります。

原因は機能的又は器質的なことに基因するようです。診断は造影
剤が胃の中に留まって先に進んでいかないことで確認しますが、
本疾病以外にも同様の現象は起こり得ますので総合的な判断が求
められます。
私が疑問を感じたのは4頭とも全てという点についてです。それ
以上の意味はありません。

神経的な原因であれば、副交感神経の遮断薬を使うこともありま
す。器質的なものであれば、できるだけ液体に近い流動食を少量
ずつ頻回給餌することになります。
ただ、これも本人の栄養要求に追いつかないことがしばしばあり
ます。疾病としての対策は嘔吐による脱水とアルカローシスが重
要です。
そして、完全閉塞を起こしているのなら、幽門筋の切開か胃のバ
イパスを作らないとならないと思います。



>ナディアさんへ
診断根拠とはTINAの場合を例にとると、
1、感染症が否定されていること
2、月齢がある範囲に入っていること
3、食餌の時間と嘔吐の時間に関連性が認められること
4、嘔吐物に胆汁の混入がないこと
5、胃の造影検査でバリウムの長時間の停滞が見られること
  あるいは幽門の形態が狭窄しているのが読みとれること

教科書を調べなくてもこの5点くらいは必要だと思います。5番
だけでも良いように思うかもしれませんが、胃内異物でもバリウ
ムも停滞はあると思いますので。

飼い主さんがどこまで知れば良いかといえば、極論を許していた
だければ、獣医師と同じレベルまでです。
無論、それができないからという書き込みであることは承知して
いますが、聞かれた方は飼い主ならここまでで良いだろうという
ことにはなりません。ご本人次第というのが現実の回答です。

主治医の先生が診断根拠を示さないというのは、残念なことです
が確かにあるかもしれません。

疾病が分からない者と説明をしない獣医師とであれば、第三者が
話を聞いても理解のしようがありません。
先生にすべておまかせしますので、良いようにして下さいという
のであれば、それはそれで結構なことなのです。ただ、こちらに
質問を書き込まれるのであれば、話の筋道が第三者に理解できる
書き込みでなくてはレスは期待できません。

そして、本質的には主治医に説明を求めるべき事柄が多いように
感じています。主治医と飼い主さんの間に介入するというのは、
かなり失礼な行為なのです。
私がユーザーというか訪問者の立場にいるのも、クレームを私個
人が負う立場でいるためです。
質問を書き込まれる方とは対等の立場あり、レス付けの義務を負
わない、クレームがあっても「獣医師広報板」に迷惑をかけない
ためです。

書き込まれる内容が不十分であれば、それだけレスはつきにくく
なります。また、その結果レスそのものがトラブルを引き起こす
ことも考えられます。
そのような事態はできるだけ避けるようにしたいと思いませんか、
だから、私は診断根拠が必要だと考えるのです。
むろん、診断根拠を知り得ない飼い主は書き込みをするなと言う
意味ではありません。

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