獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200007-187

キジの雛
投稿日 2000年7月16日(日)03時17分 はたの

獣医師ではありませんがご参考まで。

 キジの雛は生れた時から自分で餌を食べることが可能です。ニワトリの初生雛用の配合飼料に、魚粉を2割ほど加え(または小鳥用の擂り餌を5割ほど)、基本の餌とします。小鳥用の粒餌+動物質でも可です。その基本餌にほぼ等量の緑餌(草や青菜を刻んだもの)、少量のビタミン・ミネラル補給用補助食品(小鳥用で可)、カキガラまたはボレー粉、砂肝に取り込むための砂・砂利、を混ぜて与えるのが薦められます。水も必要ですが、普通の容器だと濡れて死ぬので、砲弾型の陶器の水入れを用い、雛が小さいなら飲み口に届くための足場、溺死防止に飲み口の中に小石を入れます。小石を入れれば小判型容器も使えなくありませんが、はねちらかした餌で水が非常に汚れ易くなります。砲弾型の場合でも、餌入れは飲み口の反対側においてください。さらに、餌入れ・水入れとも飼育容器の壁から離さないと挟まって死亡する事故が起きます。飼育容器は2室に区切ります。一方は明るく、常温、餌、水を置きます。他方は薄暗くし、雛の大きさにあわせて加温します。孵化直後なら35度ぐらい、成長に合わせて温度を下げていきます。両室の間は布などで垂れ幕のようにして区切ります。熱源やサーモスタット等、物入りではあるのですが、この方法で、山菜取りに行って見付けた、という人から押しつけられたヤマドリの孵化当日の雛は6/8の確率で中雛まではいきました。ただし、より飼い易いウズラやチャボやニワトリの雛の育成経験は以前からあったうえで、ですが。
 仮に中雛までいっても、飛行能力をつけるには大型の屋外禽舎が絶対に必要になります。そのうえ、大型の禽舎でプロが育成しても、放鳥後の生存率は相当に低い事が知られています。おまけに、集団で競い合って餌を食べるのが正常なので、一羽だけだとそこまで育てるのも相当に困難で、チャボやニワトリの雛を育てた経験のないかたには難しいのではないかと思います。行政に連絡なさるのが早道ではないでしょうか。行政の鳥獣保護担当が熱心でないなら、農政の担当にキジの養殖場(減反対策で推進していることがあります)を紹介してもらうのも手かもしれません。成長後どのような運命が待っているかは定かではなく、食用に殺されてしまうかもしれませんが、血液更新の種鳥として大切にしてもらえるかもしれませんし、放鳥してもらえるかもしれません。経験のないかたが挑戦されて死亡させるよりは確率としてもマシで、お手元で悲しい思いをなさらずにすむ、というメリットもあろうかと思います。
 もし仮に飼育許可を取られて終生飼育を目指されるのであれば、雛のうちから長時間の接触を保たられることをお勧めします。例外もあるものの、ヒトへの刷り込みがかなり効きにくいようなので。また、ペット的に慣れても物に驚いて飛び上がってケージの天井に頭をぶつける習性は消えないので、天井が柔らかいネットの禽舎をお持ちでないなら風切羽をカットしてしまうほうがいいと思います。
 残念ながら、放鳥を目指すにせよ、終生飼育を目指すにせよ、一般家庭では相当に飼育困難な鳥だと思います。

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