獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200104-29

インフォームドコンセント
投稿日 2001年4月4日(水)12時25分 プロキオン

インフォームドコンセントについては、皆さん考えていて下さったようで、喜
ばしいと思います。
各人各様の考えがありますので、それは尊重したいと思います。また、その理
想と現実の解離があるのも現状の追認というのではなく、明日があるのだとい
うことも信じたいですね。

はたのさんの例えも分かりやすいかもしれませんね。獣医師が裁判で負けると
いう例は、おおよそ、「当然施されていなければいけない医療」が獣医師の管理
下にあるにも関わらず実施されていない場合ということが多いようです。

今回のぐっちょんさんの場合は、主治医は抜歯が必要な歯があれば、当然抜歯
するものという認識にあったと主張すると考えられます。また、その行為自体
に不同意の飼い主もいないと考えていたのでしょう。
それを「現場の独善先行」と受け取るか否かという判断になるのだと思います。
裁判所にいっても、恐らくは「調停」か「和解」が進められるはずです。この
場合は獣医師が「以後、気を付けます」とあっさり頭を下げてしまえば、それ
までです。補償も料金の返還も必要無いということになると考えられます。

それに納得できなくて、本提訴ということになれば、飼い主側が獣医師の過失
や悪意の意図を証明しなくてはなりません。これが実に困難なことであり、訴
訟が成立しない要因となっています。
裁判に持ち込むには、普通の獣医師なら当然実施するであろう処置を怠って患
者に損害を与え、飼い主の信頼を裏切ったという形でないと受け入れられない
と思われます。

インフォームドコンセントがなく処置されたと主張しても、患者の利益にかな
っている限り、勝訴には繋がらないのです。歯石取りを依頼された時点でそれ
に附随した処置と解されるのが大方の視点であると言えるのです。むしろ、獣
医師側にすれば、治療をまかされた信頼に答えるために抜歯も実施したと主張
することも可能なのです。

しかし、一旦こじれた関係であるのなら、無理をすることなく別の獣医師を主
治医として選択しなおしても良いのではないでしょうか?
この辺りの考え方は はたのさんの述べておられることと同じと言えます。
# 飼い主としては、残念なことかもしれませんが、患者が来ないということ
  がやはり一番のダメージなのです。
  そして、それが「あなたは信頼できない」というメッセージに繋がるので
  す。

インフォームドコンセントという言葉自体に責任はないのですが、この言葉が
用いられる背景が良くないのです。
飼い主さんにはできるだけ理解できるように説明しますよ、それでも分からな
いことは質問して下さい。黙っていたのでは理解してくれたものとみなされま
す。それでも理解できなかったら、う〜ん、もう少し時間をかけましょうか?
時間に余裕がなかったら、済みませんが私の判断で処置させていただきます。
でも、これは飼い主さんを裏切らないためです。
そのあたりは御理解願います! それでも駄目というのなら、何を目的に何故
私のところへ来たのかをお尋ねしたいです。

多くの飼い主さんは、あまり深く考えずに主治医を選択していますが、多くの
獣医師もまた、期待に応えるべく頑張っているはずです。

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