獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200104-59

マルチレス
投稿日 2001年4月7日(土)15時54分 プロキオン

4月6日の パセリさんへ
避妊手術についてですが、私もりんママさんと同意見で子宮と卵巣の両方の摘
出をお勧めします。
「小動物の診療」という獣医師向けの本の中である大学の先生が、卵巣を完全
に切除すれば、子宮蓄膿症のおそれはないと言い切っておられましたが、やは
り現場にある身としては、両方切除しておく方が安心です。メスを入れる以上
は、わざわざ子宮を残しておく意味合いは薄いように思います。

私が研修を受けた病院と同じ区内に低料金を売り物にしている動物病院があり
ました。私の研修先の病院で子宮蓄膿症の診断をうけた犬がいたのですが、そ
ちらの病院で避妊手術を受けていたので、飼い主はその診断を受け入れてくれ
ませんでした。両方とも摘出されているかも、傷口の大きさも憶えておらず、
手術の同意は得られませんでした。
後日(私が地元に帰ってから)、雑誌にその病院のインタービュー記事が載っ
ており、「傷口が小さくてすみ、入院の必要がないので飼い主にとっては安く
済むので感謝されている」と発言しているのを目にしました。卵巣のみの摘出
だったのです。
やっぱり、そうだったかという思いと 安ければ良いというのでもないことを
改めて感じました。

と同時に4月5日のひとみさんの書き込みに対して、取り残しの卵巣を摘出す
るのは、容易ではなく大がかりになるとレスしました。
田口先生は、腎臓の後ろにあるはずだから容易と思うと書かれていますが、私
はやはり容易ではないと考えます。
1、獣医師が捜したけれども見つからなかった、再手術も嫌と言っているから
  にはやはり単純に考えてもやりやすい状態の手術とは思えない。
2、発情出血があったとしても、卵巣が本来の大きさにまで発育している保証
  がない、犬の種類も大きいとはいえない。
3、初回の手術時の結紮糸を目印しとしても、切開創の外に消化管をひきずり
  出さないと目視は困難。傷口は大きくする必要があるし、ポジショニング
  やアプローチも検討の必要がある。
4、卵巣が本来の位置に正常な大きさで存在していても、「見つからなかった
  」という理由で残されたものと仮定すると、切除しがたい何らかの原因が
  存在するのではないかと推測できる。
5、2〜3の知人に尋ねてみたが、好んでやりたいとは思わないという意見で
  一致したこと。
  犬には「淫睾」があるが、腎臓から鼠径部の間にあるはずの精巣を捜すのも
  のも実際のところ容易ではない。卵巣はもっと小さいという理由でした。

私が、何故、田口先生の意見にこれだけ否定的な意見を書いているかと言うと
必要なことは必要なときにやっておくことが大事だからです。子宮蓄膿症の例
と併せて、やるべきことは最初の1回で済ませておけば、後々が楽になるとい
うことを言いたいからです。再手術に容易なものはない、容易でないからこそ
再手術が必要になるのです。

1つの手術に対して、容易であるとか容易でないとかは、個人の技量や経歴に
よるところが大きいので、田口先生に「ヤブ医者」と言われたと曲解して反論
を試みたわけではありあせん。私自身が手術は嫌いとすで発言していますし。


4月6日の GOさんへ
本川先生の本については、私は否定する立場にいます。本川先生はあちこちで
その内容について講演をしていますが、話を聞いてみると逆なんですよ。
計算式から事実に気がついたのではなく、いくつかの動物の心拍数から事実に
合う計算式をつくったのです。
したがって、例外にやたら出くわします。犬では、体重の重い大型犬の方が軽
い小型犬よりも比較的短命ですし、GOさん宅の鳥についても体重と寿命が比
例していないはずです。
一定の数心拍を刻めば、寿命がつきるのであれば、スポーツ選手はみな早死に
しなくてはなりません。このことについて、本川先生は人間は本来は40歳く
らいの寿命のはずが、医学の力によって、より以上に生かされていると説明し
ています。ならば、獣医学が進めば、動物達も今の倍以上に寿命がのびるので
しょうか? 答えは否です。
魚という生物も不思議な生き物で、今もって飼育下の寿命が自然寿命を超える
ことができません。それでも50〜60年生きてくれる鯉もいるわけで、その
体重を考えると体重と寿命が比例するいう理論に誤りがあることが分かります。

これを冬眠するからと解釈する考えがあり、このことが一番困るのです。つま
り、ハムスターのように疑似冬眠する動物に対して、冬眠している間は心拍数
が低下している、一生の間の心拍数が一定であるのなら冬眠させれば長生きで
きるという発想がでてくるからです。実験してみれば、その結果はひじょうに
良く分かるのですが、決してお勧めするわけにはいきません。
冬眠するから長生きできると言う話自体、結構信じている動物学者もおり、話
しがややこしくなるのですが、寿命を支配しているのは別の要因なのです。

ゾウにはゾウの時間があって良いし、それはネズミについても言えます。そこ
までは否定しませんし、そういう動物の違いをとらえる考え方は必要なことで
す。
でも、今までに2000頭を越す24時間心電図をとったMEリサーチセンタ
ーの内野先生をもってしても、犬の心拍数の標準偏差を修正し続けています。
すべての動物で一生の間の心拍数が同じであるというわけにはいかないようで
すよ。

さて、本題の鳥の種類ですが、これはまだないしょです!
そ嚢のない鳥は、飼鳥の中にもいますし、そうでない鳥にもいます。
とりあえず、首の長い鳥というのは正解ではありません。
盲腸のない鳥、胆嚢のない鳥もわかりますか?

鳥のBBSの中には正解をしっている人がどのくらいいるかな?


4月7日の noaさんへ
書き込まれている症状からは、やはり病的な状態と推測されます。この場合は
いろいろな疾病が考えられますが、何よりもお近くの病院へ行かれた方が確か
で早いです。


4月7日の 陽子Nさんへ
アガリクスについては各社より、ひじょうに多くの製品(商品?)が市販され
ています。この全てが、同様に効果があるのか私には分かりません。各社とも
他の会社のものとは異なるというような宣伝をしているからです。
また、同じ製品でありながら、個体によって効果に差が生じることも製品の特
性から言ってもありえることです。
しかしながら、効果があった事例というのもたしかに耳にすることもあるのも
事実です。どれを使用したらよいか迷うところですが、アガリクスだけに頼る
のでなければ、試してみるのは良いのではないでしょうか。
どの製品が効果があるのか、実のところ私も知りたいのです。


   

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