獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200105-389

プロキオンさま、ごんさま 長文失礼
投稿日 2001年5月31日(木)05時20分 はたの

プロキオンさま

>条約本来の目的から言えば、スズメだけでなく、文鳥やカナリアだって日本へ
>置いていくことが望ましいことになります。

>むろん、文鳥やカナリアは商用に輸出するわけではないのでしょうが、生産国
>日本の鳥を海外に連れ出すには、もしくは輸入するためには、ワシントン条約
>の下では制限を受けます。むしろ受けないようでは条約の存続意義がありませ
>ん。

 さて、どうでしょうか。サイテスは「絶滅おそれのある」「野生動植物」が対象であり、家畜家禽とは無関係です。条約名にふたつともが入っておりますし、前文でも、「野生動植物」が対象であると4回も明記しています。さらに野生動植物の価値として、「レクリエーション及び経済上の見地から」のものも含まれています。しかも条約が懸念しているのは「過度に国際取引に利用されること」であります。
 「こうあってほしい」「こうあるべきだ」は別として、サイテスの条文を鑑みるに上引用中の「本来の目的」「存在意義」は誤解を招きやすい文言のように思われますが、いかがでしょうか。イエイヌやイエネコはサイテスとは無関係ですし。

>この条約についていえば、
>日本はあまりできの良い国ではない方でしょうね。本来の所管官庁が、輸入業
>者や加工業者保護政策をとってきたと避難され続けた経緯があります。

 こちらは明確な論拠を挙げるのが難しいので「感想」に止めておきますが。国内の人権問題をアピールしそこねた不手際は確かにありますし、事実として日本が非難されたことがあるのは同意しますが、それをもって「できの良い国ではない」といえるものでしょうか。私が知る限り、日本はかなり律儀にサイテスの手続を守っています。また、サイテスの規定より厳しい(これは条文上可)、「2類生体に対する事前確認」を行ってもいます。いくつかの国の輸出・輸入許可証発行手続がサイテスに反しているのに比べたら、むしろ「できの良い国」といってもいいのではないでしょうか。政治力のなさの反映かもしれませんが、律儀に生まじめに優等生的にサイテスに寄り添おうとしています。多くの「先進国」が無視することにした、相矛盾するサイテスの通達にさえ忠実に寄り添おうとしてかえって混乱を招くほどに。

 追伸・鳥クイズの再開、お待ちしております。

 ごんさま

 獣医師ではありませんがご参考まで。なお、輸出の経験はありませんが計画と下調べはしており、輸入の経験はあります。

 人と一緒に連れて行くとなるとややこしいので、ブンチョウ・カナリア・スズメの3種を輸出する、と考えます。
 関門は3つあります。
1 サイテス
2 輸送(ア 航空会社の規定 イ IATA−イアタ−航空会社の組合みたいな国際機関−の規定 ウ 輸入国の規定)
3 検疫・検査

 一番簡単なのは業者にまかせてしまうことです。受け入れ国側にも業者が必要になりますが、それを探すのも含めて、法的な手続も発送・受取もみんなまかせてしまうのが簡単ではあります。国際空港には入国側の検疫施設があり、いくつかの業者が荷受け人に代わって検疫期間中の世話などの仕事をしています。(日本の)国際空港の動物検疫所に問い合わせるなどしてお探しください。あるいは大手の動物商でもいいかもしれません(日本動物園水族館協会が出している「動物園水族館雑誌」などの広告などご参照あれ)。ただし、いい業者を見つけられるか、いくら掛るか、といった点は保証致しかねます。

 ご自身でなさるとして・・・

1 まずは、ブンチョウ Padda oryzivora、カナリア Serinus canaria、スズメ
Passer montanus がサイテス対象種か否か、対象種なら附属書1〜3のどれに該当するか、です。手元の資料では対象外のようですが、最新のものではありませんので、ご確認ください。サイテスの管理当局は通産(経済産業になつたのでしたっけね)です。

 対象種だった場合は相当に困難で、場合によっては不可能なこともあります。もし対象種であってなお頑張って連れて行かれるつもりならまた書き込みしてください。
 対象種でないのなら、サイテスのことはとりあえず忘れてOKです。

2 ア 航空会社によってさまざまな方針があります。が、まず最低限、「命の保証はしない」ことには同意しなくてはなりません。また、会社の方針としてはOKなのに現場サイドで面倒を嫌って断られる場合もありますので、簡単に諦めないほうがよいでしょう。「野鳥は運ばない」会社でも、「飼い鳥はOK」だったりしますので、そのへんもしつこく確認なさってください。
    そして、人と一緒に持ち込もうとすると、1機に動物一つ、とかといった制限にひっかかりやすくなります。ですので、人とは別に送ることをお勧めします。通常の747ですと一番後部の5番カーゴが与圧・保温です。その他の機種にも客室と同条件の荷室がたいていあります。ただし、たまにない飛行機もありますし、故障もあります。ケージの大きさを正確に伝えた上で「生き物を積める部屋」のスペースを予約するとともに、その便がだめだった時のことも相談しておきましょう。数時間後にもう一便あるのか(到着時刻はOKか?)、それに載せるのか、それとも一度家まで連れ帰るか等。
  イ IATA規定 Live Animal Regulations を取り寄せ(航空会社または運輸省−国土交通省から)、規定に完全に沿うような輸送箱を用意します。実際には有害無益なばかばかしい規則が混じっていることもありますが、それでも従っておきます。
  ウ 輸入国の規定 も調べる必要があります。IATA規定より厳しい規定を持っている国もあり、違反していると(たとえ死亡率が高まろうがお構いなく)返送されたりしかねません。
 なお、事前に輸送用ケージや、綿を詰めた水入れから水を飲むことなどに慣らしておきましょう。また、生き鳥在中、上、天地無用、日向厳禁、などと、現地語と英語で大きく書いておきます。
 
3 検疫 国ごとに異なります。しかも、輸出国(この場合日本)や地域、対象種によって異なり、荷受人が有資格者だと緩和されたりもありえます。数十日かそれ以上、検疫施設内に留め置かれる場合から、簡単な検査でそのまま入国できる場合までいろいろです。国によっては輸出国の公的な獣医師の書いた健康証明書が要求されることもあります。もし留め置かれる期間があるようなら、輸送用とは別のケージやいつものエサを一緒に送るなどなさる必要もでてくるかもしれません。この場合、エサの植物検疫についても調べておく必要があります。エサを同送できないのなら、現地検疫所で使っている名柄のエサを事前に輸入して慣らしておくことも考えなくてはなりません。業者に頼むのか、自分たちが通うのか(それが許されるのか)など、誰が世話をするのかも考えておく必要があります。また、動物検疫所は飛行機がまだ到着する時間にも閉まることがあります。業務終了時間を調べて最低でもその2、3時間前に着く便、できれば平日朝の便を選ぶとよいでしょう。

 その他、書類仕事があります。少なくとも、種名が明記された公的な書類が要ります。ここでサイテスを思い出してください。サイテス対象種でないことを輸入時に確認するのにも何か公的な書類が要るわけです。むろん書類だけでOKとは限らず、実物を検査されることも大いにありますが。たいていは健康証明に学名が記載されていればいいはずですが、別途要らないとも限りません。そのあたりも相手国の規定を調べ、日本ではどこが出してくれるのか調べ(環境省・経済産業省・財務省税関・農水省動物検疫所、のどれでしょう)、見本を相手国に事前に送って、相手国がその書式を認めるかどうか確かめる必要があります。日本語の書類しか出したがらなかったりする役所もありますし、となると、日本国か(望み薄)相手国の公的な機関で翻訳してもらわなければならないかもしれません。また、送り状も要るでしょう。私的なもので可、ただし手書きよりタイプ(むろんパソコンのプリントアウトでも可)が好ましい。送り人、荷受け人、内容、数、価格などを書きます。主に関税課税のための書類です。このあたりは航空会社にご相談を。

 スズメのこと。モメる可能性がなくはありません。というのは、飼い鳥ではないので。
 ここではごんさまがどのようにして入手されたかは伺わず書かないでくださいね)、また倫理的なことも抜きにして。
 スズメは野鳥ですが、完全に合法的に飼育する方法もあります。猟鳥ですので、定められた期間・方法・数を捕獲することができ、捕獲した個体は飼育でき、その子孫も飼育できます。野生動物は公共の財産ですが、合法な捕獲によって占有されれば、その時から捕獲した者の所有物となるので、所有権の問題はクリアされます。そして、現行法上、届け出や登録制度はありません。つまり、完全に合法的に飼っている場合でも、身の証しを立てる方法はありません。
 他方、裁判では、違法性を立証する義務は検察側にあり、被告側にはありません。となると、サイテスなどでなく、「スズメが野鳥である」ことをもってして輸出を禁じるためには、日本国政府の側が、ごんさまが飼っておられるスズメが違法に入手された個体であることを証明しなくてはならなくなります。これはまあ、非常に困難でしょうね。
 つまり、日本を出るほうはなんとかならなくもないだろう、ということです。
 ただし、入国時はまた別です。
 国によっては、サイテス対象種であるか否かを問わず、野生から捕獲された(=飼育下繁殖だと証明されない)鳥は全部ダメ、ということもあります。この場合は諦めざるを得ません。
 また、野生捕獲個体には、「それが合法に捕獲されたものであることの証明書」を要求されることも在りえます。この場合、環境省にその証明書を発行してもらうことになります。そして、違法性の証明と異なり、出すか出さないかは、ごんさまがどんな資料を提出するか、それを環境省がどう判断するかによります。つまり、「明確に合法」なら出す、「違法性を立証はできないが、合法性も足りない」なら出さない、ことも環境省の権限として許され得るわけです。グレーゾーンの取り扱いが異なりえます。ほんとは難しいところですがね。
 ただ、仮に(あくまで仮に)、雛を違法に捕獲した場合でも、やむを得ない事由(当時の社会通念からして「ヒナを拾うなキャンペーン」を知らなかったのは無理もないとか、現にそのヒナは雨に打たれてすぐにも死にそうだったとか、役場に届けたのにスズメということで職員が「まあいいです」みたいなことを言ったとか)によって違法性が減ぜられるとか、捕獲は違法だったがその後の飼育は違法とまでは言えず占有の事実をもって所有を認めるとか、法律的にはウルトラCもなくはなさそうなので、どうしてもスズメも連れて行くとのご決心でしたら、交渉が行き詰まる前に弁護士に相談なさるとよいと思われます。

 スズメを含めるにせよ含めないにせよ、初めてだとかなり大変だとは思います。連れて行かれるのでしたら、手間と時間がかかる覚悟はお要りようと思います。

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