獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200110-107

狂牛病の危険度
投稿日 2001年10月9日(火)12時30分 プロキオン

狂牛病は、危険度はどのような物指しで測るべきなのでしょうか?

感染性病原体のレベルでいけば、「P3」かもしれませんが、その内実はそれ
を上回ります。
# このレベルは4段階中の2番目の危険度です。

イギリスでは感染者は、100名を少し越えたところですが、この数字でも安
心されては困ります。
今から、発病して治療法もなく死んでいく潜在患者の数が問題なのです。
オックスフォード大学のシュミレーションでは、10万人から100万人と計
算されているのです。過日、NHKが潜在患者数を17万人と放送したのは、
この中から控え目の数値を使用したということなのでしょう。

それにしてもなんと幅のある数字なのでしょうか。狂牛病については、80年
代半ばから、そしてその元となった羊のスクレーピーは250年も前から発生
していたのです。
感染原因にたどりついても、まだこれだけ不確定要素が残っているのです。

イギリスは、保険の総元締であるロイズの国です。自動車保険は成立していて
も「狂牛病罹患保険」は成立していません。
本来、危険度の判定とその保険料率の算出は、保険の成立要件です。つまり、
ペルシャ湾を航行する船舶は何回に1回事故にあうとか、飛行機は何マイル飛
ぶと落ちるとか、保険料を決めるうえで必要な危険度を調査するのです。

狂牛病の場合、この危険度が算出できないのです。
できないというよりも、営業として成立しえる保険料の範囲に納まらないと判
断しているのかもしれません。

「リスクの定量化をする努力」とは誰にむけていった言葉なのでしょうか?
行政にむけてであれば、今やるべきことは国民を守ることです。費用効果を論
じているときではありません。その、根拠として述べられた意見は杞憂にすぎ
ません。国家予算に「どんぶり勘定」はないからです。

私達、国民ひとりひとりに言っているのであれば、食肉や加工食品、化粧品等
日常の身の回りに潜む危険を認識して欲しくて、私は発言をくり返してきてい
るのです。費用効果と繋がる話をしているのではないのです。

そして、国家予算に関わらず、県予算も市町村予算も「どんぶり勘定」で執行
されているところは皆無です。
はたのさんが「リスクの定量化」を必要とする根拠として述べた事態は起こり
得ないことです。
予算は、積算の根拠を積み上げて、査定を受け、財務と折衝し、議会の承認を
経て、金銭出納者から支出され、完了検査を受け、会計検査を待たなくてはな
らないのです。
予算は、その執行において承認された項目以外には流用はできません。出納者
は決済をしないだろうし、執行者がやってしまえば、刑事訴追の対象になって
しまいます。これは行政執行者にとっては基本中の基本であり、社会科の範囲
のことです。 
何故「全力を投じるべき」という私の話が、国家予算の全てを注ぎ込むかのよ
うな暴走した考えに変わってしまったのでしょうか?

予算項目にないものは、補正予算を組んで対応するしかありません。こちらと
て、必要な手順は本予算と同じです。かってなことはできません、もし、対応
不能な積み残しが出るなら、次年度の本予算が行ないます。
国債の発行が必要な金額になるのなら、あらためて国会で討議するだけのこと
です。でも、私の予測では補正の範囲内で済むと考えます。
そして、それで済む金額に抑えるためにも 今 必要なことを実施することが
前提なのです。

報道各局がこの問題を取り上げるのは、国民生活において見過ごすことのでき
ない問題だからです。各局のニュースキャスターやスタッフ達が、私が気にし
ている点を取り上げてくれているのは、安堵のかぎりです。

牛の解体方法の変更、これは難しい問題があります。頭の中だけで考えて済む
ことではありません。と畜場における解体の手順をしらないと安易に考えてし
まいがちですが。
各と畜場の実情もしらなくてはならないし、実施可能なものでなくてはなりま
せん。解体方法を変更できない国もあるようですし。
安全策を画餅に帰さないためにも 知恵を搾って欲しいと考えます。

私は常識を兼ね備えた人間であり、暴走した考えはもっておりません。根拠の
ないことを発言しているわけではありません。また、自分の知らないことにつ
いて調べもしないで発言しているのでもありません。

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