獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200112-137

レス:強膜炎
投稿日 2001年12月25日(火)11時49分 プロキオン

>12月24日の ピーチさんへ
パールちゃんの後押しがありましたので、出て来ましたが、どうも内容が把握
できません。
どこがというと、「脈絡膜の手前の強膜に炎症」というところです。

「強膜」というのは眼球全体を包む強い丈夫な膜のことで、角膜を除けば全体
にあります。通常、私達が前方から犬の目を見ると、白目として視認される部
位をさしています。そして、その表面は眼瞼の結膜と眼球結膜が癒合した前嚢
(こういう表現が適切否かは取りあえずおいておきますが)に被われています。
つまり、「強膜炎」という場合は白目が赤くなった「結膜炎」を意味している
ように受け取れてしまうのです。

また、その一方で、結膜より深部の虹彩や毛様体、脈絡膜等は総称して「葡萄
膜」と称されます。「脈絡膜」は眼球の内ばりをしていて、眼球の後部であれ
ば、外側に強膜があって、その内側に脈絡膜があって、さらにその内側に網膜
があります。従って、こちらであるとすると「脈絡膜の手前の強膜」という表
現と矛盾して来ます。

矛盾しない位置関係を考えると、前部の葡萄膜で脈絡膜が毛様体や隅角に移行
する部位に炎症があって、その部位を上部後方より被う強膜にも発赤や潮紅が
見られるという事象なのかもしれませんね?

もし、このような状態であるとすれば、単純な結膜炎とはいえず、痛みや「そ
う明」もあり、目もしょぼしょぼして流涙や目脂も多いと考えられます。結膜
炎よりも一歩踏み込んだ「葡萄膜炎」の処置が望まれます。継発症には「緑内
障」もありますので注意も必要です。
ピーチさんの主治医の先生ですが、「脈絡膜の手前」という表現が、病変の位
置を適格にとらえたうえでの発言と考えると、それなりのお薬が処方されてい
るのではないかと想像できるのですが。
もし、わからいというのであれば、その点をもう少しつきつめて話をお聞きし
て下さい。ただ、その場合、ネットでこう言われたからという聞き方は、かえ
ってマイナスです。
現状と治療方針、予後について、こういう点がまだ自分には理解できないとい
うピーチさん自身のことばであって欲しいと思います。

本来、一番知りたかったであろう転院の時期についてはお答えいたしかねます。
ネットでは診断も治療もできません。それができるのは目の前にいる主治医な
のです。施されている治療について想像する事はできますが、確証があるわけ
ではありません。迂闊な発言で主治医と飼い主さんとの信頼関係を損なうこと
があってはならないと考えます。
質問疑問は、まず当事者同士で言葉をかわすことが大切です。


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