獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200201-171

避妊手術後の骨疾患
投稿日 2002年1月23日(水)12時12分 プロキオン

1月22日の えみりんさんへ
まず、私のレスで感情を害していたらごめんなさい!
決して、批判や非難のつもりはありません。単純に避妊手術にそのようなデメ
リットがあるのかと受け止める飼い主さんが増えて欲しくないだけなんです。

本日、友人より多摩臨床研究会の疾病統計を調べてもらった返事が届きました。
こちらによると、猫の骨粗しょう症の報告というのが5140例に1件あるそ
うなのですが、避妊手術との関係はあきらかにはなっていないようです。
さらに、友人によると海外においては、このような(避妊手術と骨疾患の関係
)問題についてすでに調査が実施されており、結論としては「無関係」と報告
されているとのことでした。
また、研究会の方では、むしろ泌尿器疾患との関連を調査しているとの興味深
い話もあるようですよ。

私は当初、こういう説明を考えていました。
私が1年に10件の避妊手術を実施するとして、10年で100件、この間に
おいて1件も該当例なし。周囲の先生10人に同様に尋ねてもなしということ
であれば、1000件につき該当0になります。
この辺りまでは、かなり自信をもって言い切れれそうだなとは考えていたので
すが、では話を100人の先生に広げたらどうだろうかというところで、定義
と条件をもっと明確しないとならないなと思い至りました。
戦後から、この手術が実施されてきており、恐らくは大丈夫であろうとは思い
ましたが、母集団を広げ過ぎることでかえってあいまいになる恐れもあります。
そこで、統計データーにあたってみることにしたのです。

友人の意見も 老化、食事(栄養)、廃用障害の要素の方が問題としては大き
く、過去に日本のみならず海外で実施されてきた手術数とその結果を考慮すれ
ば、有意なこととは考えられないとのことでした。
そのような事例が報告されているのであれば、偶発的な出来事であるか、他に
要因を検討する必要があるということですね。

犬や猫においては、その骨格が完成されるのに必要とされる時間が寿命全体に
占める比率は人間よりも小さく、繁殖可能な時間が寿命に占める比率は逆に大
きくなっています。
これだけでも大分条件が異なるのですが、エストロジェン1つを例にとっても
体がこのホルモンに曝される時間というのは、人間と犬猫ではまったく異なり
ます。
つまり、ぶひ先生の知人の獣医師の「犬や猫には発情期があるから」という説
明に戻ってくるのです。骨代謝の卵巣機能への依存度が低いという説明の方が
簡潔で良かったのではないかと思っています。臨床家であれば、そこまでの説
明で充分のように思います。
それはどういうことですか?という質問に答えようとすると、私のように長く
なってしまいますから。

データーの5140例というのは、西暦2000年の1年間において研究会の
先生方が診断した何らかの臨床症状をもっていた症例だそうです。


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