獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200206-192

レス:2題
投稿日 2002年6月24日(月)17時30分 プロキオン

6月23日の じんの母さんへ
添付されている写真を見る限り、「前眼房蓄膿」のように見えます。ウサギに
おいては細菌性以外に無菌性のものも見られるようですが、中耳炎や鼻炎から
波及していることもあります。このような場合であれば、目だけを治療してい
てもなかなか回復が進まないこともあります。
また、3月が初発で、その後5月に転院とありあすが、経過が長いようですね。
最初の時点で目がまっかという表現がありますが、このときに毛様体炎や虹彩
炎があったのであれば、経過が長いこともうなづけないではありません。

外科的な処置について云々とありますが、これはどなたかの意見でしょうか?
主治医の先生からの意見でしょうか? 「前眼房蓄膿」と仮定しての意見にな
りますが、私は外科処置の適応外の症例と考えています。
どのような薬剤をどのように使用するかというお話になると思います。


6月23日の 大阪の吉田さんへ
まず、最初に伝えておきたいことを述べてしまいますが、「動物の命を助けて
いるのは獣医師ではありません、それを行なっているのは飼い主です。飼い主
こそが主人公であり、獣医師はそのお手伝いをしているのに過ぎません。」

獣医師がいくら、助かる命であると飼い主に説明しても、飼い主にその気持ち
がなければ、獣医師にはそれ以上のことはできません。
また、反対にいくら助けてくれと言われても助けることができない命もありま
す。
早い話が、飼い主がいない野良犬のことを考えてみて下さい。管理センターで
処分を待っている彼等に対しては獣医師はまったく無力です。引き取って飼育
してくれる人間がいて、初めて生きるチャンスが出てくるのです。
犬や猫については、彼等をその飼育下において保護してくれる飼い主が居てく
れることが第一義的優先事項であり、獣医師はその後の出番と言えます。

そして、ネコエイズに罹っているとのことですが、これは間違いのないことで
しょうか? ネコエイズ(FIV)の疾病特性として 小さな子猫における感
染というところに引っ掛かるものがあります。

もし、FIVであったとしても、他の猫との同居は可能です。私の病院の患者
猫で、角膜潰瘍で片目が潰れている猫がいますが、この猫はFIVに感染して
いることが判明してからすでに2年半経過しています。鼻の方の蓄膿も持って
いますので、そのくしゃみや鼻汁の飛び散り方は激しく、少なからず手がかか
ります。入院していた頃は、朝晩40分ずつかけて餌を給仕していましたが、
本当に食べてくれなくて苦労しました。
( 餌を食べさせている間は呼吸ができず、むせさせたりすると鼻から餌が飛
  び出してきました )

元々が外猫であった猫なのですが、現在の飼い主さんが、外貌が悪く、鼻水垂
らしの猫であるのにもかかわらず、とても大切にそして熱心に面倒をみてくれ
ているので、あれから2年半も生き長らえています。
私は、この猫にFIV感染猫の生存記録を伸ばしてもらいたいと考えています。

私がこの猫の面倒をみたのは2ヶ月ですが、現在の飼い主さんはそれよりもは
るかに長い期間面倒見続けていますし、これからもそれは続くと思います。
そして、その間 一言も「診療費を安くして」とも口にしていません。この猫
を中心に据えてドラマを作るのであれば、獣医師である私は決して主人公には
なれません。主人公は飼い主さん以外にあってはならないのです。
普通の感覚の持ち主であれば避けるであろう猫に対して、あれだけ慈しみの心
を持てる人間に対して、獣医師がどれほどのものだろうかと思います。

その飼い主さんの家には、他に4頭の猫と1頭の犬がいます。FIVは、多く
の場合咬傷から感染する事が多いのもです。餌の容器を共有したり、濃厚な接
触を避ければ、それ程感染力の強い疾病ではありません。
敢えて勧めることではありませんが、飼い主さんに労をいとわない覚悟があれ
ば、他の猫との同居も不可能ではないと思います。

金銭の問題というのは動物を飼育する際、最初に考えておかなくてはならない
ことなので、吉田さんが心配なさるのは当然であり、むしろ望ましいことと言
えます。
私は獣医療は決してボランティアであってはならないと考えている人間ですが
上記の猫については、持論の範囲外です。そもそも私にできないことをやって
のけている人間、しかも後光がさしている方に どれだけ不遜な態度がとれる
というものでしょうか。
初めから動物病院側の善意を当てにしてというのであれば、それは間違ってい
ると言えますが、獣医師も人の子であり、動物が嫌いでこの職業についたとい
うのでもないと思うのです。今は手中にある生命のことだけを考えれば良いの
ではないでしょうか。

◆獣医師広報板サポーター◆
獣医師広報板は多くのサポーターによって支えられています。
以下のバナーはサポーターの皆さんのもので、口数に応じてランダムに表示されています。

サポーター:新日本カレンダー株式会社ペピイ事業部様のリンクバナー

サポーター:ペットコミュニケーションズ株式会社様のリンクバナー

サポーター:ペット用品通販Gズ\ィエ.COM有のリンクグオー

サポーター:日本ベェツ・グループ 三鷹獣医科グループ&新座獣医科グループ 小宮山典寛様のリンクバナー

あなたも獣医師広報板のサポーターになりませんか。
詳しくはサポーター募集をご覧ください。

◆獣医師広報板メニュー
獣医師広報板は、町の犬猫病院の獣医師(主宰者)が「獣医師に広報する」「獣医師が広報する」
ことを主たる目的として1997年に開設したウェブサイトです。(履歴)
サポーター広告主の方々から資金応援を受け(決算報告)、趣旨に賛同する人たちがボランティア
スタッフとなって運営に参加し(スタッフ名簿)、動物に関わる皆さんに利用され(ページビュー統計)
多くの人々に支えられています。

獣医師広報板へのリンクサポーター募集ボランティアスタッフ募集プライバシーポリシー

獣医師広報板の最新更新情報をTwitterでお知らせしております。

Copyright(C) 1997-2024 獣医師広報板(R) ALL Rights Reserved
許可なく転載を禁じます。
「獣医師広報板」は商標登録(4476083号)されています。