獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200208-209

reいきなり暴れる猫・・・
投稿日 2002年8月27日(火)01時01分 はたの

自由意志で歯ありませんがご参考まで。

 以前、「狂暴な」猫を飼っておりました。
 どのぐらいかというと、複数の獣医師に入院・預かりを断われたほど。ケージから出せない、扉をあけられない、掃除ができない、水はホースで、餌はドライを折った紙で流し込んで・・・、上下左右/上下の9マス使えなくなる・・・と言われほど。
 家人の中でも特定の者以外にはファッっといっておりました。

 何かできるか? ほとんど何もできません、積極的には。なにかやれば攻撃と受け取られてしまいます。
 ただ、猫の側が穏やかな気分で人間に近寄ってきた時のみ、ヒトが穏やかに対応するのみです。
 そも、猫の魅力はその野生味にあります。ローレンツ曰く、「ネコの心性は微妙で野生のままである。それは、動物にたいして愛情を無理やりに押しつけるようなタイプの人には、容易に開かれない」。
 イヌはヒトの共であり、時に部下であり(イヌもそれを望みます)ますが、ネコは単なる同居人です。
 古いミステリなどに、中年の綺麗好きの堅物のご婦人(老嬢や未亡人が多いですね)がやっている下宿に変わり者の学者が住んでいるという設定がよくありますが、そんなものだと思えばいいのです。特別なスキルをお持ちでない限り、へんに馴らそうとしないのが馴らすコツです。急がせればこじれるばかりです。ネコ自身の内面で気分が落ち着かない限り、ヒトからの働きかけは有害無益です。甘えてたのがきゅうに齧る、よくあることです。それがどーした、です。気になさらなければよいのです。
 先住の犬猫に牙を剥くのもおとなのネコとして当たり前です。何かの臭いで突然咬むのも当たり前です。
 ネコはネコの形をした縫いぐるみでないのです。ヒトの思うようにならないところが最大の魅力です。はっきり申し上げれば「良い子」であることをネコに求めるのが間違っているのです。我が儘で気まぐれで自分勝手でヒトに責任転嫁して・・・こそがネコの可愛さではありませんか!
 どんないきさつにしろ、ネコと暮らすからには、言い訳ヌキで、「ネコがネコであること」を受け止める必要があります。
 どこかが壊れていてどうしても殺処分せざるを得ないネコもいます。が、新しい環境をたらい回しにされて攻撃的になるのはネコとして当たり前ですから、それを保健所に持っていくのは、ネコがおかしい、狂暴なのではなく、ヒトの側に、「ネコと暮らす覚悟」が足りないのではあるまいか・・・と思えてなりません。
 ネコのほうから走っていって襲いかかり、「相手を殺す気で」攻撃することがないのなら、放っておけばいいのです。ほんとに荒いネコってのは、火の玉になって飛んで来て襲いかかるもので、尻尾の先にも触れないぐらいのものです。そうでさえ、飼い猫として不適格とはいえません。うまく付きあえば問題ないのです。
 小部屋に隔離は問題の解決になりません。そのネコ以外の先住の犬猫が入らない小部屋を確保し、その中に水餌トイレ寝場所を設置した上で、扉は開け放しておいて、つまり、そのネコに選択の自由を提供しておいた上で、後は無視に限ります。
 個体によりますが、数週間から数年の間には落ち着くものです。干渉が少ないほど、早く落ち着くものです。
 甘えてきた時もそっけなく受け止めるだけにします。と、ネコはかまってほしくてもっと甘えるでしょう。ちょっと甘えにきた時にしっかりした反応を返してしまうと、「もっともっと」という気分になりませんから。

 上がうまくゆかずに殺処分をお考えになるのなら、その前に獣医師とご相談の上、薬物療法もご検討を。怪我であれ病気であれ意図的に与える薬物であれ、体に力が入らない感じになるとネコは不安になり、子供っぽい気分になり、「誰か」に依存したくなります。その弱みにつけこんで落としどころを探る手もあります。

 どうしても殺処分なさるのであれば、保健所へ連れていって後は関知せずではなく、獣医師に依頼して、Sさんかララさんかララさんのご母堂の腕の中で殺すべきと考えます。その辛さ悲しさやりきれなさ申し訳なさをちゃんと引き受けるのが、責任を取るということだと思えますので。

 しかし、書き込みを拝読する限り、ネコと暮らすからには覚悟しておくべき程度と思われ、保健所云々を持ち出す深刻さではないように思われます。

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