獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200208-68

続、診療費
投稿日 2002年8月9日(金)15時46分 プロキオン

>ももママさんへ
「院長がいないと診療費が分からないのは、動物病院としてはごく普通のこと
か」という質問ですが、私はさほど論点がずれているとは考えていないのです。

というのは、昨日、診療費はこのようにして設定されているというなかで、設
定しきれない項目ということに触れているからです。

つまり、避妊手術の料金なら設定されれていると思いますが、妊娠経験のない
個体、経験済み、現在妊娠しているがとくに目立つ程お腹が大きくない、妊娠
していて2〜3日中に生まれるという個体では、手術の難易度が異なります。
この患者には手がかかったから、少し割りまし料金を欲しいというケースもあ
るわけです。
また、骨折の手術といっても場所と、患者の大きさ、骨折後の経過時間で、や
はり一概に同一料金と考えられてしまっても 苦しいものがあります。
これは何も手術に限らず、目薬を刺させない個体、外耳道炎の治療で大人3人
をはねとばすトイプードルなど、なにも問題のないような治療のケースでも、
手がかかる患者は存在します。
これらの割り増し料金については、執刀者であったり、治療を担当した獣医師
であったり、院長が決めたりとそれぞれに段階があります。

例え、一般的な料金設定がしてあっても、院長の確認をとってからでないと、
料金を口にできないということは、まったく当たり前のことであって、うかつ
に伝えてトラブルを招くようなことは、従業員教育としては逆にあってはなら
ないことなのではないでしょうか。
これは、なにも動物病院に限った話ではなく、事前の打ち合わせや決済のない
段階で、会計担当者や社長の承認のない契約金額を窓口で答えることがないの
と同じであって、普通の企業や会社でも通用する話です。

つまり、「責任者がいないところで従業員が、うかつに金額を口にしない」と
いうことは、社会通念上当たり前のことと考えていましたので、それ以上の話
はせず、何故差が出てくるかについて、費やしたわけなのです。

また、「一つ一つに料金設定があって」ということですが、この方が会計シス
テムとしては明朗であると思います。本当は全ての項目を料金設定するべきな
のですが、昨日も今日も言っているように これが難しいのです。
昨日触れました日本獣医師会の診療料金実態調査においても、このように一つ
一つ設定がなされているものと考えての調査であって、このことが逆に問題と
なりました。
どういうことかというと、避妊手術いくらと発表された金額があまりに低額だ
ったのです。各地からクレームがきて、あらためて説明されたのは、麻酔料、
入院代、点滴、抗生物質の注射代等が別項目に扱われていたのです。純然たる
手術の技術料のみの発表だったので低額になった、飼い主が実際に支払う金額
はあれこれを合計した金額になるというものでした。
これでは、飼い主さんには参考にならず、誤解をまねくだけのものだったので
す。
日本獣医師会としては、みながこのように細かく料金設定をしているものと考
えていたのでしょうし、これにクレームが来た以上、そうしていない病院も多
数あるということになると思います。
私が昨日、「全国一律にしてしまったので」と言ったのは、ここまで内情を話
す必要性はないだろうと考えていたからです。この料金に拘泥しないための理
由としては、地域差だけでも充分だと思ったからです。

この「獣医師広報板」は、個人開設のホームページであり、この掲示板でレス
を付けている人達もまた私を含めて個人なのです。
再度のお尋ねになっている質問も「ごく普通のことなのか」ということであれ
ば、お答えしようがありません。おそらく日本獣医師会も日本小動物獣医師会
も把握していないのではないでしょうか?
おそらく、こうではないか、あるいは、私の周りではこうだということにすぎ
ないと考えます。また、それが動物病院全体を表わしているか否かまでは、判
断できないことなのです。

私は、病院による診療料金の差が何故生じるのか、私の分かる範囲でお話させ
ていただきましたが、それが自由診療だからということで納得していただける
のであれば、話はもっと簡単です。
動物医療は物品販売ではないのですから、同じ疾病でも支払い金額に違いが出
てきてもなんら不思議ではありません。これは、同じ病院の同じ疾病について
も言えることなのです。ということであれば、従業員であるAHTが院長に聞
かないと分からないという場面が出てきても、おかしなことであるとは私には
思えませんが。

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