獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200209-1

re歯が
投稿日 2002年9月1日(日)00時41分 はたの

獣医師ではありませんがご参考まで。

 この時期の2週間前というと、さて、まだ幼いのでしょうか、もう大きいのでしょうか? 
問題は体の大きさではなく、乳歯か永久歯かってことなのですが。
判別は、抜けたほうの歯を齧歯類に詳しい獣医師にみてもらうのが確実でしょう。

 乳歯ならばさほど心配はいらないはずですが、永久歯だとかなりやっかいです。拙宅でも咬合異常、出たことがあります。かなり調べましたが、根本的な治療法は見つかりませんでした。
折れた歯はまあいいのです。また伸びてきます。失われた歯もまあいいのです。生えてはきませんが、飼育下なら、門歯はなくて済みます。が、それと向かい合う歯(この場合、抜けた歯のお向かい)が、削りあう相手がいなくなって伸び過ぎてモノが食べられなくなり、最終的には顎に刺さってしまいます。また、その圧力によって顎そのものが歪むこともあり、と、臼歯もズレ、この場合は飼育下でも困ったことになります。門歯の歯根はえらく長いので、抜歯も困難なようです。

 結局、定期的に切るしかありません。もともと大人しい個体を非常にうまく馴らせば、軽く保定するだけで切れることもあるようですが、その確率は低く、現実には麻酔して切ることになります。
ここで問題はふたつ。
ひとつは費用です。定期的なものですので、長い目で見るとそれなりに。
ひとつは麻酔の影響です。月に1度、何ケ月も何年もとなると、悪影響が少ない最近の麻酔を使うのが安全でしょう。

 いずれにしても、どう抜けているのか、どう折れているのか、確かめなくては始まりません。プレを診ることができる獣医師に受信なさることをお勧めします。2本とも単純に折れているだけでしたら、伸びるタイミングを見ながら削ることによってうまく復旧できる可能性もありますから。

 なお、ケージは要改良です。網目6ミリ以下の織り金網などをご検討されるのがよいかと。・・・ケージを咬む以外でも歯は折れるので100パーセントの安全性ではありませんが、確率は減らせますから。

 餌内容は即刻変更されることをお勧めします。果物もミルクもプレの望ましいエサではありません。プレの餌は、草(青草でも乾草でも。イネ科主体、キク科も可、マメ科多用不可)、ウサギ用のペレット、あるいはプレ用ペレット、がほとんどを占めるべきです。それにわずかな生野菜、それも青物主体で甘いもの(イモ、カボチャ、ニンジン等)は控えめに。春から夏には、月に1度とか2週に一度とかぐらい、動物質を。
 アメリカのプレーリーをイメージしてください。果物なんかそこらに転がってません。ミルクもアカんぼのうちに母プレからもらうだけです。乾いた大地に草ばかりあります。主体はイネ科とヨモギ類です。
 草も瑞々しいのは春夏だけ。そして春夏には、バッタや小鳥の雛なんかもいます。秋から初春まではほんの少量の草の実を別にすれば、枯れ草ばかり食べています。
 そういう食生活に適応していて、それで健康が維持できるような体なのですから、果物だのミルクだの(超高カロリーのヒマワリの種も!)やっていれば、てきめんに不健康に肥満します。
 
 もし幼い場合も、離乳がすんでいるのなら、果物はむろん、ミルクも不要です。野生のプレは離乳したら草を食べるのですから。 ただ、成長期には、動物性の蛋白は思われている以上に好まれます。放飼場で勝手に殖えているような動物園で、ハトやウズラの死体を投げ込むと特に若い個体は争って食べるということで、かつ、そうした動物質をやっている施設の繁殖成績はなかなかよろしいのです。むろん、滅多に食べる機会がないから好むように出来ているので、好むからといってやりすぎは禁物ですが。丸ごとの死体はなかなか入手困難でしょうし、骨や内臓のない精肉ではまずいので、ドッグフードが簡便。キャットフードでもいいですけど。

 臼歯がズレていないのなら、餌に手心を加える必要は原則的にはありません。草をすり潰すのは門歯でなく臼歯ですから。
 ただ、痩せてくるようなら(あるいは成長率が悪いようなら)、ウサギ用ペレットをふやかして。それでも痩せてくるようになったら、ふかしイモのような軟らかくて好みの味で高カロリーのものの割合を少しずつ増やして調整なさればよいでしょう。
 痩せているか太っているかも獣医師にご相談を。文字で表せる範囲でいえば、
「見たとき、腰骨が尖っていたり、肋骨が浮いているなら痩せすぎ、触ったとき、背骨が尖っていたら痩せすぎ、
触れたとき、背骨の両側に肉があれば痩せすぎでない、肋骨が指に触れるのはOK、皮膚が少し余っている感じもOK、
肋骨が指に触れなきゃ、皮膚がぱんと張り詰めていたら太りすぎ」です。

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