獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200211-102

レス2題
投稿日 2002年11月21日(木)15時20分 プロキオン

11月20日の ティアラさんへ
まず、「空気感染」という単語の定義を確認する必要があるのですが、同一の
居住空間における感染を心配しておられるのですから、これは「飛沫感染」や
「接触感染」の心配であると理解します。

空気感染という場合は、ウイルスの核酸が非常に強く、保護成分に頼らなくて
も長期間生存できる必要があります。少し前に国内で発生しました「口蹄疫」
などは、障害物等のない海上であれば60〜120キロメートルの飛散が可能
であると紹介されていました。このような例であれば「空気感染」の典型と考
えられると思います。
これに対して、くしゃみ鼻水や排泄物の飛沫によるウイルスの拡散や、塵埃に
まぎれても短時間しか生存できないウイルスの拡散は、飛沫感染や接触感染の
範疇にはいります。
飛沫や塵埃といっしょに空気中を漂うことについては変わりありません。厳密
な区別というのではなく、防疫上の取り扱いということです。
(移動禁止をかける距離的な設定が必要ですので)

したがって、今回の場合は空気感染するか否かという事自体にはさほど意味は
無く、ウイルスの排泄量とこれに接触する時間の長短が問題となります。
お子さまからのウイルスの排泄ということについては、心配なさる程の量があ
るとも思われません。


11月21日の りおさん
子猫が眼瞼癒着をおこしてしまう症例は、比較的よく見られ、私も鼻気管炎ウ
イルスがいたずらしているものと思っています。
そして、この際にインターフェロンを点眼点鼻するということはセミナーでも
よく推奨されていることであり、IgG抗体の分布しにくい粘膜面では、感染
初期であれば、かなり有効な処置とされています。

しかし、りおさんの症例では、すでに3週間が経過しているにもかかわらず、
結膜炎が進行して眼瞼の癒着が生じているということであり、これはすでに2
次感染のステージに入っており、本来のウイルスではなく別の細菌が炎症の主
役として入れ代わっているのではないかと私は考えています。
どのくらい期間があれば治癒するかというと、これは本来であれば、すでに治
癒していないといけない時間が過ぎてしまっています。
眼瞼の癒着が軽度であれば、点眼薬でも良いのですが、線維素の析出が重度で
癒着がひどい場合は、これを防ぐためには眼軟膏の方が適しているかもしれま
せん。このあたりになると患者本人を診察していないと分かりかねます。



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