獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200303-107

トキソプラズマ
投稿日 2003年3月12日(水)03時22分 Big 1

トキソプラズマ(Toxoplasma gondii)の唯一の固有宿主はネコ科動物で
す。感染経路としては肉食、糞の摂取および先天感染がありますが、この
うち肉食がもっとも中心的な感染経路です。猫が組織シストを摂取すると、
胃や小腸で消化されてシスト壁が溶け、ブラディゾイトが放出されます。
ブラディゾイトは小腸の上皮細胞に侵入し、無性世代(A〜E型)を開始し、
次いで有性期にうつり最終的にオーシストを形成します。このオーシスト
は胞子未形成のまま糞中に排泄されます。胞子未形成のオーシストは感染
力をもちません。このオーシストが空気にさらされると1日以上かけて胞子
形成を起こし、感染力をもつようになります。したがって猫の糞便は排泄
後速やかに処置したほうがいいことになります。

 他の温血動物(ヒトを含む)も感染しますが、固有宿主ではないため(中間
宿主となる)組織中にシストを形成はしますが、糞便中へのオーシストの排
泄は起こしません。このため、中間宿主となる動物からの感染は感染動物
の生肉を摂食することによっておこります。つまり、犬の生肉を食べる習
慣でもない限り犬から飼い主にトキソプラズマが感染することはありえな
いことになります。(いまだに犬から感染すると説明する医師もいるので
困ります)

 次に抗体価のことですが、猫の抗体価が高い場合にはオーシストの排泄
は殆どないことがわかっています。また、抗体価が有意に上昇している人
は再感染から防御されることもわかっています。従って飼い主と飼い猫の
両方の抗体価が低い場合に注意が必要となります。

 最後に人へのトキソプラズマ感染経路として最も多いのは、生肉あるい
は加熱不十分な肉、生肉を調理した包丁やまないたからの二次汚染をうけ
た生野菜などであることを理解しておいて欲しいと思います。

参考文献 
 J.P.Dubey(加藤 元 大島 慧 監訳) 猫の医学 431〜449 文永堂
東京(1993)

 Dennis M.McCURNIN(本好茂一 加藤 元 監訳) Clinical Textbook -
for VETERINARY TECHNICIANS 233 JAHA 東京(1990)

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