獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200406-126

フィラリア症と予防内服薬について
投稿日 2004年6月10日(木)19時52分 投稿者 Big 1

犬の病気として問題になるフィラリアは学名をDirofilaria immitis、和名を犬糸状虫といいます。犬糸状虫の成虫の体長は、オスが18cm、メスが28cmほどで主に肺動脈(心臓から肺に血液を送る血管)に寄生します。

ごくまれに右心室内に成虫が移動して右心室と右心房の間の弁の動きを障害することがあります。こうなると尿が赤くなり、そのままでは1週間ぐらいで犬は死亡します。このような状態を急性犬糸状虫症といいます。

 犬糸状虫の一生を説明しますと、メスの成虫から生まれたばかりの幼虫をミクロフィラリア(mf:体長150〜300μm)といいます。フィラリアの血液検査で見つかる幼虫というのはこれのことです。このミクロフィラリアは吸血によって蚊(トウゴウヤブカが主だといわれています)の体内に侵入しマルピーギ管というところで発育します。
 一回脱皮すると第2期幼虫(L2:体長460〜1100μm)、もう一度脱皮して第3期幼虫(感染幼虫:体長915〜1100μm)となり、マルピーギ管から蚊の吻鞘に移動して吸血時に皮膚の上に下り、蚊の吸血でできた傷から犬の皮膚内にもぐりこみます。(感染)

 感染後3日〜半月ぐらいで脱皮して第4期幼虫(L4)となります。このときが犬糸状虫の一生で一番小さくなると言われています。

 感染後50日から68日でもう一回脱皮して第5期幼虫となります。ここからは急速に成長して大きくなり(感染後3〜4か月で3〜11cm程度になるといわれています)静脈に入り肺動脈内に侵入して成熟します。


 フィラリア症は予防薬を投与することで予防できます。この予防薬は上の説明に出てきたL3、L4仔虫を殺す薬なので、感染開始1か月後から感染終了1か月後まで、1か月に1回ずつ投与する必要があります。

なぜ1か月に1回で、1か月後までなのか。それは、

蚊が運んできた感染仔虫(L3)体内に入ってから成長してL5仔虫になるまでの期間(予防薬が効かなくなるまでの期間)、これに安全のための余裕を考慮して決定されたからです。

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