獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200408-116

マルチレス
投稿日 2004年8月9日(月)15時15分 投稿者 プロキオン

8月7日の ちぇるさんへ
「何を確認すればよいのでしょう」とは、ジステンパーであるか否かにつ
いての確認ですか? それとも特定の事柄についてではなく、ただ漠然と
した話なのでしょうか?
前者であれば、今の時点で確たる根拠を示せと言われた方が困惑するでし
ょうね。相手の先生は臨床医であって、病理医ではありませんし、疾病の
ステージもまた異なっています。
後者であれば、私が差し出がましい口をきくべきではないと考えます。そ
れに「あれを尋ねなさい、これはどうなっていますか」と言ったところで
主治医から返ってくる返答が、ちぇるさんに理解できなければ、意味があ
りません。私と主治医の間でピンポン球になってもしょうがないでしょう。

今までに記載されている症状が、鼻水、目脂、ハードパットそして嘔吐も
ありましたよね。ジステンパーは全身の粘膜におけるカタル性炎がその本
態と言えます。ジステンパーは呼吸器症状、消化器症状、そして神経症状
とありますが、前2者はカタル性炎の結果といえます。神経症状は、少し
違って、ウイルスの感染した細胞や組織を犬自らの免疫が攻撃破壊するこ
とのよって引き起こされます。従いまして、昨日まで元気だった犬が突然
に発病するということが普通に起きます。近年のジステンパーは、このパ
ターンが多いように思えますので、今回の症状がおさまったからと言って
それで、もう大丈夫ということにはなりません。回復後も3月や半年と注
意は必要です。
また、近年野外におけるジステンパーウイルスの変異が疑われる症例も報
告があるようで、メーカーにおいては既存ワクチンの効果の検討もされて
おります。ジステンパーは、今もって看過できない疾病であって、犬にと
っては重要なことなのですが、投稿を拝見する限り、主治医の先生は、こ
の疾病を念頭においておられるようなので、治療そのものが的を外してい
るということにはならないはずです。
なんでもない疾病にジステンパーの治療をしたというのなら、大袈裟かも
しれませんが、ジステンパーなのに、その治療をして貰えなかったという
逆のケースなら、生死に関わりますので、まずは、それで良いように思い
ますよ。

8月7日の 桜さんへ
陰茎よりの膿みとありますが、本当にそのような現象なのでしょうか?
かかる症状というか、「脳尿」であれば、レプスピラを念頭に置かなくて
はなりませんが、もっと普通に「包皮腔の汚れ」や「包皮炎」ということ
は考えられませんか?
こちらであれば、私には珍しいこととも思えませんし、ひじょうに良く遭
遇することと言えます。こちらと出会う可能性の方が高いので、御確認願
えませんか。

8月8日の とめきさんへ
獣医科大学に在籍中にアメリカ留学するということに、どのような意義を
求めておられるのでしょうか?

国内で大学受験に失敗した者がアメリカで獣医師資格を考えて相談してく
る事例は過去にも多いです。
しかし、日常生活レベル以上の語学力を有していない限り、日本で資格取
得に挑むよりも、はるかに困難なことです。この点については、皆さんが
くり返し、述べてきていることです。また、アメリカでは大学へ入学する
ことが日本よりも楽と考えられているきらいがありますが、専門コースへ
の入学は決してなまやさしいものではありませんし、試験に次ぐ試験のく
り返しであって、語学のできない者にとってはとてもついていくことはで
きないでしょう。
また、そこまでして得たアメリカの獣医師資格も日本では紙切れに過ぎま
せん。日本で臨床に携わりたいのであれば、帰国後に日本の獣医師国家試
験を受験しなおさなくてはなりません。いくら成績が優秀な方でも、日本
の国家試験については、日本の試験情報がないとかなり不利と言えます。
学業に自信のある学生が各大学にある国家試験対策委員会の情報に頼らず
に国家試験に失敗したという話もあるようですよ。
( 臨床に携わることなく、研究職に就くのであれば、受験の必要はあり
  ませんが )
国家試験というのものは、万国共通の試験ではないことを知っておかなく
てはなりません。

さて、話をとめきさん御自身のケースに戻しますと、日本の大学に在籍し
ておいてアメリカ留学というのは、どのような目的なのですか?
アメリカには専門医がありますが、やはり大学卒業後臨床経験を経て、さ
らに研鑽の為に大学へ戻るということもあります。このような専門医を目
指すのであれば、大学生という基礎知識のない時点での受け入れは、相手
先の足手纏いにならないでしょうか? 大学生が大学の基礎課程への編入
であれば、ただの語学留学です。特段、獣医師資格を絡めたお話をする必
要性はありません。
留学にどのような意義とメリットを求めておいでなのでしょうか? 留学
した知人達というのは、何が自分に足りない、何似ついて学びたいという
具体的な目的がありました。それが分からない時点での留学は、せっかく
お金と時間をかけていくのですから、無意味に終わらせてはもったいない
と私は考えますが。

◆獣医師広報板サポーター◆
獣医師広報板は多くのサポーターによって支えられています。
以下のバナーはサポーターの皆さんのもので、口数に応じてランダムに表示されています。

サポーター:新日本カレンダー株式会社ペピイ事業部様のリンクバナー

サポーター:ペットコミュニケーションズ株式会社様のリンクバナー

サポーター:ペット用品通販Gズ\ィエ.COM有のリンクグオー

サポーター:ホームドクター・専門診療・救急:神奈川最大級のプリモ動物病院グループ様のリンクバナー

あなたも獣医師広報板のサポーターになりませんか。
詳しくはサポーター募集をご覧ください。

◆獣医師広報板メニュー
獣医師広報板は、町の犬猫病院の獣医師(主宰者)が「獣医師に広報する」「獣医師が広報する」
ことを主たる目的として1997年に開設したウェブサイトです。(履歴)
サポーター広告主の方々から資金応援を受け(決算報告)、趣旨に賛同する人たちがボランティア
スタッフとなって運営に参加し(スタッフ名簿)、動物に関わる皆さんに利用され(ページビュー統計)
多くの人々に支えられています。

獣医師広報板へのリンクサポーター募集ボランティアスタッフ募集プライバシーポリシー

獣医師広報板の最新更新情報をTwitterでお知らせしております。

Copyright(C) 1997-2024 獣医師広報板(R) ALL Rights Reserved
許可なく転載を禁じます。
「獣医師広報板」は商標登録(4476083号)されています。