獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200408-127

>とめきさん
投稿日 2004年8月10日(火)12時44分 投稿者 プロキオン

ということは、私の昨日のレスの最後の部分に相当するわけですね。

日本の獣医科大学に在籍中のアメリカ獣医科大学専門コースへの留学とい
うのは、大学の観光旅行になりかねないと思います。
医療英語がまず理解できないであろうという以前に、日本語の医療用語が
頭に入っていないはずですから、講議内容が理解できようはずがありませ
ん。
日本とアメリカでは教育体系に相違がありますので、一通りの事柄を身に
つけておいてからでないと、「わかりません、知りません、聞いていませ
ん、教わっていません」では済まなくなります。

敢てキツイものの言いをしますが、日本の獣医療を甘く見ていませんか?

獣医学科を有する大学は国内には16しかありません。国公立であれば、
その定員はおよそ40名くらいのものです。獣医師を志す者は、その定員
の中になんとか入らなくてはならないのです。
そして、入学できた者にしても農学部の中の1学科ということで、臨床を
目指す上で、大学以外に臨書医の手伝いをしてかなり専門的な分野の勉強
に励む例もあるのです。
その農学部の中の1学科としての授業であっても、私の大学では専門科目
は「乙単位制度」でした。これは他の学科なら4単位分の授業を受けても
2単位にしかならないという制度でした。そうしないと、他の学科の単位
数と比較して獣医学科が飛び抜けた数字になってしまうからです。それで
も4年生に進級した時には、学部長推薦が受ける事ができるだけの「優」
の数は集まってしまっていましたよ。
今は、大学も6年制ですから、当時程の詰め込みにはなっていないはずで
すが、研究室に所属していれば、遊んでいる時間はないはずです。これは
今も昔も変わりません。
日本の大学事情が「のんびり」しているように見えるのは、自分がのんび
りしているからにすぎません。高い競争率をくぐり抜けてきた者たちがみ
なのんびりしていると御考えでしょうか?
人間に与えられた時間は、みな全て等しい長さで流れて行きます。あくせ
くしろと言っているのではないのですが、無駄に使っても良いわけではあ
りません。大学を卒業して、国家試験に合格して、同じスタートラインに
立つことになるのですが、各々のランナーの脚力まで同じだと御考えでし
ょうか?
私は、まったく別物だと思っています。地力に劣る者を有利に採用してく
れる企業も雇用主も、よほどの物好きでない限りいないように考えます。
日本はね、専門職の教育は社会に出てからなのです。大学だけでは足りな
いのです。
アメリカの医療に憧れるのなら、大学を卒業して、就職して一通りのこと
に支障がないようにしてから行く方がよろしいでしょう。
以前にもこの掲示板で書きましたが、すでに「アメリカ帰り」は売り物で
はないのです。開業されるのであれば、近所の病院と競合しない分野を専
門とするべきでしょうし、開業がむずかしくなってきているので、勤務医
として道を歩むにしても他者にない分野でないと売り込みにはなりません。
自らの足下がどうなっているのかを知らずして、先ばかり見ていると、穴
に落ちるのは必定です。
自分にとって、何を学んでくるのが良いのか、理解できていないうちに留
学しても意味があるのかなというのが、私の感想です。医療も獣医療も、
そんなに簡単に学べる分野の世界ではないですよ!

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