獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200408-238

RE:訴訟というより告発
投稿日 2004年8月21日(土)16時00分 投稿者 プロキオン

こんにちわ、Big1先生。先生のおっしゃられるとおりに「獣医師」が
原告というのはなじめない意見だと私も思います。

しかし、今回のケースでは、この獣医師というのは、本来得られるはずで
あったワクチン接種代を違法な行為によって損失を受けたという獣医師の
ことです。違法行為によって損失を受けたというのでないと「被害者」と
なりえないと考えられるからです。
が、これまた当然のように私こそが被害者であるという認定はむずかしく
(獣医師であれば誰にワクチンを接種して貰うかは、自由ですから)、件
のブリーダーを訴えるという獣医師は出現しないでしょう。

第17条違反で訴えたいと言っても、それ以外の獣医師であれば、これは
法律上は善意の第三者にすぎませんから、やはり1人では警察も動いてく
れないでしょうし、証拠や証人も必要となります。
また、この点をクリアーしたとしても検事さんは、おそらく不起訴処分に
するのではないでしょうか。

訴訟の成立要件としては、被害者と加害者の存在と、その被害の算定が必
要となります。
今回のケースで言えば、被害とはなんでしょうか? 犬が疾病に罹患した
ことであれば、これはワクチンの接種に起因するとは言えません。ワクチ
ンの接種をするために疾病の発生している犬舎へ連れて行ったことの方が
原因と推測できます。
また、昨日も申しましたように投稿者自身が違法なワクチン接種を望んだ
現実があります。したがって、犬が疾病に罹患したとして、それ自体ある
いは治療費を被害と認定することには、そのままでは無理があります。
それなりの理由と手間暇を用意する必要があるはずです。

したがって、個人が訴訟を起こすのであれば、被害を申し立てることがで
きる「ワクチン接種代の損害を申したてることが可能な獣医師」の存在を
述べたわけです。もっとも、これも理屈の上での話であって、現実的でな
いことは先に述べたとおりです。

実際にこのブリーダーに対して訴訟を起こすのであれば、獣医師会や行政
が、「獣医師の権利の侵害」として、この投稿者に「証人」として出廷し
て貰うのが妥当なところのように考えます。

少し前に狂犬病ワクチンだったか、「水を注射したのと同じ」というよう
な意見を述べられた獣医師の話題が投稿されておりましたが、ワクチン証
明書が発行されていなければ、法律上は確かに水を接種したのと同じ意味
にしかなりません。
違法なワクチン接種であれば、これはワクチン証明書が発行されているは
ずもなく、行政でも警察でも、違法行為を立証できません。本人に否認さ
れてしまえば、水掛け論です。
ワクチンバイアルや注射シリンジ等をおさえて、かつ当該人物が接種した
という証言が必要なのです。

ちょうど5年前になりますが、都内のペットクリニックが獣医師法違反で
逮捕された事件がありましたが、(獣医師資格を持たない者の診療)、こ
のときには、14名の飼い主さんが被害者となっています。
こちらの事件では、動物病院の看板をかかげていたのですから、飼い主さ
ん達は騙されたということになりますので、原告適格には問題なかったと
考えられます。
それでも、警察ざたになるまでに、それだけの被害が出たというか、必要
だったというべきか…。

まあ、またあらためてこのような事を記載すると17条違反の告発は、そ
れ程面倒なのかということになってしまいそうですが、Big1先生が昨
日最後の方で心配されていた点なのです。
この法律を迂闊な扱い方をすると、名誉毀損や営業妨害になりかねない恐
れがあり、行政も司法も腰が重いのが普通です。
また、今回のケースのような内容であれば、わざわざ提訴するよりも、「
懲役2年か100万円以下の罰金だそうだね」と口にする方がはるかに話
しが早いでしょう。先生の心配されていたもうひとつの方です。
それでは、困りますから、私なりに「原告としての適格性」に文言を費や
す必要があったわけなのです。
私も、訴訟を考えるよりも、告発の際に証人にでもなって欲しいと思って
います。
と同時に、このブリーダーにワクチンを渡した者も自分のやった行為を反
省してもらわないと困りますね。

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