獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200409-312

re:じょう虫について
投稿日 2004年9月28日(火)10時49分 投稿者 プロキオン

蚤がいっぱい寄生していたようですから、おそらくは「犬条虫」だったの
ではないかと想像します。

この条虫は、卵を産まないのです。体の中に卵が造られても、産卵するた
めの「産卵孔」が存在しないのです。
では、どうするかというと、この犬条虫の場合は、体を構成している「体
節」がちぎれて、犬や猫の肛門から、排泄されるのです。
犬や猫の体から体外に排泄された条虫の体節は、貯えられているエネルギ
ーによって肛門から離れた場所まで移動して、そこで力尽きてひからびま
す。そうすると、体節の中に保存されていた卵(卵嚢、卵塊)も虫体から
外界(犬や猫等の寄生主の体)に放出されます。

そして、外界に放出された条虫の卵を、別の寄生虫である蚤が食べて、蚤
のお腹の中で卵は孵化して、やっと条虫の誕生となるわけなのです。
犬や猫は、条虫をお腹の中に抱えた蚤を飲み込むことによって、感染する
のです。

この場合の蚤のように寄生虫の生活環の中において、必要な部分を占めて
いる「中間宿主」の存在は重要であって、犬や猫等の「終宿主」の駆虫を
行っただけでは、駆虫効果は期待できません。
中間宿主までを含めた駆除を実施しないと、新たな感染をくり返すだけに
おわりかねないのです。
条虫の駆虫薬を服用させるだけでなく、蚤の駆除も必要なのです。

ここまで、読んでいただければ、糞便中の寄生虫卵の検査を実施しなかっ
た理由がお分かりいただけたと思います。
決して、面倒くさかったわけでもないし、粗略にあつかったわけでもない
と思いますよ。
ただ、どのような特徴をもった寄生虫であるか、完全な駆除のためには、
どのようなことが必要であるかの説明は、実施するべきであったと私は思
います。
毎度のことなので、わざわざ先生がするまでもない、AHTにおまかせと
考えたのか、AHTもまだそこまで教育されていなかったのか、薬さえ服
用すれば良いと考えていたのか?

いずれにせよ、その時の対応が、その病院の考え、あるいはレベルという
ことになりますから、飼い主さんから見て、感じたままを病院の評価とす
ればよいだけのことではないでしょうか。

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