獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200501-190

マルチレス
投稿日 2005年1月24日(月)12時13分 投稿者 プロキオン

1月23日の fuzzyさんへ
こんなことを言ってはいけないのですが、生後3ヶ月の犬が対象であれ
ば、私なら「慢性腎不全」という言葉は使用しません。

慢性腎不全というのは、文字どおり長い慢性的な経過をとって腎臓の組
織が破壊されて結合組織に置換された状態を言います。腎臓本来の組織
構造と機能が失われ、かつ残された腎組織においても代償性機能が及ば
なくなっているからこそ、治らないとされているからです。
当然、慢性腎不全の前に急性腎不全の状態があってしかるべきで、生後
3ヶ月でいきなり慢性腎不全という診断が下されたのであれば、ちょっ
と驚きますし、患者の病歴が気になります。
重度の急性腎不全で、回復がおもわしくないという状態を、「治らない
」に主眼がいってしまっての「慢性腎不全」ではないかと想像したりし
ています。(個人的なかってな想像ですが)

嘔吐などの症状は、むしろ急性腎不全の方が頻繁であって、慢性腎不全
ではBUNの値がとんでもない高値であっても全然吐かないということ
もあります。これは、脳の嘔吐中枢がBUNの高値状態になれてしまっ
て嘔吐刺激として作用しなくなってしまったからです。

腎組織の破壊によって機能不全に陥った場合が腎不全なのですが、代償
機能が残されているうちは、希望を捨てる必要はありません。


1月23日の ニーナさんへ
7月6日生まれであれば、今季の発情が来ても不思議ではなさそうです。
発情の繰り返しですが、これも異常な現象ではありません。
猫は交尾排卵動物ですので、交尾刺激やネックバイトによる刺激がない
と排卵が行われません。つまり、卵巣に成熟した卵胞が残っているわけ
ですから、強弱の波はあっても発情は持続していることになります。
発情を何回か経験している猫であれば陰部やお尻を柱や机の角に擦り付
けて、その刺激で排卵してしまうこともあるようですが、まだ若い猫で
すから、そのまま発情が続いているのでしょう。
このような状態における避妊手術の是非ですが、技術的には可能でしょ
う。非発情期の際よりも多少は出血は多くなるでしょうが、危険という
程でもないように思います。
それでも、緊急手術と呼ぶような種類の手術ではありませんので、本人
の状態が最もよい時期の方が良いことは言うまでもありません。要は、
そこまで待っていることができるか否かの飼い主さんの事情如何です。
性格の変化については、個体差も大きいですし、手術以外のファクター
もありますので、言及できません。


1月23日の シロさんへ
卵を産むということは、本人にとって栄養状態、外的環境が産卵可能な
状態にあるとセキセイの身体が判断を下したということになると思いま
す。
12歳ということですから、仮にその判断が正しいとしても飼い主さん
としては不安なことと思います。
としたら、栄養状態や環境面において、もっと過酷な状態が必要という
ことになると考えます。


1月23日の 杏奈さんへ
ウサギにおいては、よく遭遇する状態だと思います。涙というのは、「
水」「粘液」「脂肪(あぶら)」の3つの成分から成っています。
ウサギの涙では、この中で「脂肪」の成分が多く、目の角膜表面が乾燥
しにくくなっています。この「脂肪」が多い為に白く濁って見えがちな
のです。
また、涙が目から溢れて流れてくるというのも、「鼻涙管」の狭窄や閉
塞によって、目尻から流れて目頭から排泄される本来の流れが行き場を
失って、目頭から外へ溢れだしたという現象なのでしょう。

「鼻涙管」の狭窄や閉塞は、上顎臼歯の根先の炎症に多くが由来してい
ます。この場合の炎症は、外から見える位置にはありませんので、肉眼
での確認はできません。
結膜炎や角膜炎、眼瞼炎による涙であれば、これだけいろいろ点眼薬を
使用していれば、治っているのではないかと考えられます。おそらく濁
っているように見えても涙そのものは正常なのではないでしょうか。
状況の改善には、根本原因を突き止めて、そちらへアプローチする必要
があると思います。



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