獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200506-77

急性フィラリア症と肺動脈塞栓症
投稿日 2005年6月12日(日)11時03分 投稿者 Big 1

せっかくのぱたぽんさんの解説ですが、ほんの一部だけ誤解されておれるようですので、
訂正文を投稿させていただきます。

「急性糸状虫症」は、「大静脈症候群vena cava syndrome」とも呼ばれています。犬フィ
ラリア成虫は、通常は肺動脈内に寄生しております。これが何らかの要因で心室〜心房に
移動すると急性の弁膜症を起こします。虫体による右膀室弁の閉鎖不全は、肺動脈への循
環不全と溶血(赤血球がこわれること)を引き起こします。溶血によって血液中に漏れ出た
血色素は腎臓を通り抜けて出るので、尿は濃黄色〜赤茶色に変色します。この状態のまま
放置すれば、ほとんどの犬は1週間前後で死亡の転帰をたどります。

釣りだし手術に使用するフィラリア鉗子には、まっすぐな直型鉗子と、自由に曲げられる
フレキシブルアリゲータ鉗子があります。直型鉗子は右心房までしか到達できないため、
急性糸状虫症の手術にだけ使用できます。ぱたぽんさんの病院で使っていたのは、おそら
くこのタイプのものでしょう。対して、フレキシブルアリゲータ鉗子はX線透視下で肺動
脈にまで到達させることができますから、急性症の時だけでなく、肺動脈内に寄生してい
る成虫も釣り出すことが可能です。かつては良くおこなわれた手術で、十四五年前なら、
一ヶ月に数例以上のペースでしていたこともありますが、なれた術者であれば、きわめて
成功率の高い手術ではあります。

「肺動脈塞栓症」は、その名の通り肺動脈に血栓などが詰まることです。犬フィラリア症
における肺動脈塞栓症は、通常は肺動脈内に寄生しているフィラリア虫体が、一度に死ん
だときに起こりやすく、成虫駆除剤などを使用したときが最もリスクが高いとされていま
す。

急性糸状虫症でも肺動脈塞栓症が引き起こされる可能性がないとは言えませんが、たぶん
ほとんどないであろうと思います。

急性症を起こしていない場合の、犬フィラリア成虫の釣り出し手術の適否については、他
の方も書かれていますが、症例ごとに異なります。心エコー検査などによる総合的な判断
が必要ですので、ここでの判断は無理であろうと思います。アリゲータ鉗子による成虫釣
り出し手術の経験が豊富な獣医師に相談されるしかないと思います。大阪市内よりは、周
辺都市のまだ自然が豊富な地域の動物病院に問い合わせされてみるのも一手かと思います。


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