飼い主です。
　獣医さんのお仕事って、本当に大変だと思います。身につける技術の多さもそうですし、
一生勉強が必要というのもそうですが、ワガママな飼い主と付き合うのが何より大変なの
ではないでしょうか。
　・休日も時間外も関係なく叩き起こされる。
　・治って当たり前、少しでも「治りが遅い」と思われればヤブ医者呼ばわりされる。
　・正当な報酬を受け取っているだけなのに、「悪徳」「儲け主義」呼ばわりされる。
　・料金を平気で踏み倒される。　．．．etc
　飼い主としては、獣医さんにはまず動物好きであって欲しいですが、好きだけでは
続かない仕事だろうとも思います（どんな仕事でもそうですが）。

　さて、飼い主として、私は、これから獣医さんになる方にこんな力を身につけて欲しい
と思います。現役の獣医さんから見れば、あるいはワガママな希望かもしれませんが。
　・基本的なコミュニケーション能力
　・自分が分からないことを「分からない」と言える強さ
　・自分の力が及ばないとき、他の獣医さんの受診を勧められる強さとネットワーク力
　・飼い主にとって辛い事実を、思いやりを持ちつつもきっぱりと告げる力

　こうした力は、授業で学ぶものではなく、日頃の生活の中で培うものではないかと思います。
例えば、話しにくい相手と敢えて正面から会話してみるとか、自分の失敗をきちんと認めて
潔く謝るとか。

　獣医さんが診るのは動物ですが、その動物に関する情報は飼い主から引き出さなくてはなりません。
さらに治療の選択肢を提示するのは獣医さんですが、何をするかを決めるのは飼い主です。
動物の治療というのは、多分、獣医さんと飼い主の共同プロジェクトなのだろうと思います。
なので、どんなに勉強ができて、たくさんの専門知識があっても、飼い主と話のできない人には
町の動物病院の獣医さんは務まりません（もちろん、獣医資格を活かせる他の分野はあるでしょうが）。
獣医さんを目指す方には、まず、専門知識をしっかり身につけてもらいたいと思いますが、
それ以外に「他人との関係を作る能力」を培って欲しいなぁと思います。