獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200509-7

がんばれマリンさんへ
投稿日 2005年9月1日(木)23時24分 投稿者 山下 貴史

山下です。「がんばれマリン」さん、こんにちは。
えっと・・・一応、レスも遅くなってしまっているし、後から話をするほうが状況を踏まえながら話せる立場になってしまうので、一つの意見として聞いて下さいね?

僕は、個人的には・・・現在の愛されている(皮肉としてですよぉ)室内犬の出産に関しては安産〜安心の育児は成り立たないと思っております。多くの人の手を借りなければやっていけない場合があります。もちろん、勝手に産んで、勝手に育ててってチワワさんなんてのもおりますが・・・。

当院での方向性ですが…、(もちろん自宅で、ご家族の方の手により)必ず子供たちの体重を1日1回測っていただきます。その際、子犬さんの暖かさや力強さに注目してください。そして、必ず前の日よりも体重は5〜10%(多くの場合5〜10g以上)増えなければいけません。そして、1週間過ぎる程度で体重は生まれたときの2倍くらいになっていただきたいと思っています。

もちろんみんながみんな順調なわけではなくて、中には口の上あごが閉じていないような病気の子や、保温不足による体温低下や、空腹により力が出なくて余計にミルクを飲めなくて・・・の悪循環にはまる子もいます。そういう際にはそれぞれ、上あごの治療までのの特別な維持法、保温の確保(ペットヒーターやアンカで1週間までは30度以上、10日目までは26度くらい、それ以降は25度以下くらい・・・)、人工保育へ早急に切り替えます。もちろん、人工保育の際にも基本的には母乳も飲んでもらって、足りない分を補います。

中には神経質な母犬さんもいますが、多くの場合はご家族に甘えてくださるようになり、お互いの協力をもって子犬を成長させていけると思います。最近のワンちゃんの中には今回のように育児をしてくれるような子ばかりではなくて、育児放棄の母犬が多くなっているように思いますので、人の手をかけてあげたほうが良いと思いますので、注意が必要です・・・。

ちなみに人工哺乳は、人肌程度〜38度くらいの犬用ミルクで1日3回以上。僕の場合は細い1ccの針なし注射器(1ccツベルクリン用)を用いたりします。なかなか哺乳瓶で小さな子犬さんに哺乳するのは大変ですので。でも本当に1滴ずつでもいいからそっと与えます。(中には先っぽに綿の様なものをまいて「ジワァ」とミルクが出るようにする人もいますが)空気を飲み込ませないようにしたほうが良いのですがこれが、一般の方にはなかなか難しいようです。

で、慣れてきたら哺乳瓶でもなんでも使ってください。もしかするとこの頃にはお母さんのおっぱいから上手に飲めるようになっているかもしれません。

とにかく、病気や虚弱で苦しんでいて、生きようとしている子がそこにいるならば・・・そして、コンパニオンアニマルなんて呼ばれながら人が手をかけなければいけない状況を作ってしまった以上は、ぜひそこそこは構ってあげてください。子犬さんの命を救う努力をしてあげてくださいね。

そして、もしかすると・・・なのですが、「がんばれマリンさん」は神経質になりすぎてはいませんか?かかりつけの先生はもしかしたら、そういうことから来るストレスを母犬さんに与えないようにご考慮されたのかもしれません。ポイントは抑えつつ、休める時は休めてあげる・・・、これも意外と重要かもしれません。甘やかすばかりではなくて、突き放す優しさってやつですね。

最後に、ここに書いたことは一般的な一例に過ぎないかもしれません。後は近隣の獣医師の判断を仰いでいただければと思います。

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