獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200510-44

レス、ありがとうございます。
投稿日 2005年10月9日(日)00時51分 投稿者 歯車

今日、動物病院の方から電話があり、お話をしてました。
一晩(?)寝て、少し冷静になったのか、淡々とお話が進んでいきました。

まず、伝染性腹膜炎は感染しても発症する例が極めて少なく、
全ての子猫が持っている可能性がある上、遺伝の可能性もあるのでお店では何の保障もできない。
お店のことをとやかく言われてもまっとうな商売をしており、悪徳な業務は行っていない。
残念ながら今回、ロッキーがこのようになってしまって販売者として申し訳なく思っている。
今後、治療費などについてはなんら保障はできないが、発症してしまった以上、
保険は有効となるので、いつでもロッキーを持ってきてもらえれば、
ブリーダーに返却し、同等の猫を用意する。
最後の最後まで面倒を見ても、今すぐ持ってきてもらっても構わないが、
生きている場合はブリーダーの元に返される、つまり安楽死となる。

おおまかなお店側のお話です。

僕も、皮膚病のことの伝達漏れや、ペットの管理について徹底的に問い詰めましたが、
お店にいたときはなんら問題はなかった。隠していたことなど何もない。
こう言い張られました。

僕も、必死になりねばっていたので、お店の責任者もだんだん
怒り交じりな会話になっていくのがわかりました。
しかし、こちらもそう簡単に折れるわけもいかないので気おされないようにに食い下がりましたが、
その甲斐もなく、こちらの要求は何一つとおりませんでした。

終いには、「お客様は、一体何を要求されているんですか?」とまで言われる始末。
別にヤクザみたいに脅そうなんて考えてませんよ・・。
感情も抑えてましたし。(それが逆効果だったかもしれませんが)

そして、こちらの事情もわかってほしかったので、
この猫を飼うにいたったいきさつや、やっと名前を覚えて返事をしてくれたこと、
前飼っていた大切な猫の闘病についてなどつい話してしまい、
とうとう、感情を抑えきれずに泣き出してしまいました。
実に情けない話です。やはりまだまだ子供だなあと、一生懸命涙を止めようとしていました。

すると、お店の責任者も一緒になって泣き出し、
「本当にごめんなさい。申し訳ありません。つらい思い出をもう1つ作ってしまいましたね。」
と、言われてしまい、これ以上この人に何も言えないと、僕の怒りがどこかに吹き飛んでしまいました。

思えば、ロッキーを引き取ろうとしたとき、
「まだ早いかもしれないからもう少し待ってくださいね。」
といわれ、万全な状態にしてから渡してくれました。
僕が車にロッキーを連れて行くとき、わざわざ駐車場まで見送りにきてくれました。
車の助手席に乗ったダンボール小屋からニャーニャー聞こえるのを見て、
すごく寂しそうな目でこちらを見ていました。
その後も、エサについて、備品について、購入した後も色々教えてくれました。
今考えるとあそこに4回も足を運んでいました。

僕は何か大切なことを忘れていた気がします。
ここまでしてくれるペットショップが果たして僕が考えていたようなあくどいことをするだろうか?
飼い主の内情を聞いて一緒に涙を流してくれるような店員がいるだろうか?
なんだか恥ずかしいやら情けないやら。自分の盲目さに気づいた気分でした。
今だから思い出せます。僕が引き取る前のロッキーを見る店員さんの優しい目を。

しばらく、僕と店員さんは何もいえませんでした。
そして、鼻づまりのような格好の悪い声で、
「つい感情的になってしまいました、申し訳ありません。」
と、謝罪し。
「もう今回はそちらのお店を疑うことはしません。今後のお話をお聞かせください。」
と、とうとう折れました。

そして、再び話は淡々と進んでいき、
僕も、ロッキーを今すぐ安楽死などというようなことはしたくないですし、
本当に苦しそうで見てられない状態になるまで、精一杯愛してやろうと思います。
と、お話をし、(死と直面したくないという飼い主のエゴに見えるかもしれませんが、トムちゃんの闘病を思うと、
ロッキーにあんな苦しい思いはさせたくないんです。想像するだけで痛々しいです)
今度また猫が送られてきても、ロッキーの代わりなどと考えぬよう、
ロッキーの使っていた食器や首輪は一緒に引き取ってもらい、
新しい気持ちでその子も愛してあげるつもりだと、いらない話までしました。


狭いショーケースに猫2匹を入れる。
皮膚病の見落としの可能性。
お店のほうにも責任はありそうですが、大切なことを学びました。
今回このペットショップとお話できてよかったです。
あの店員さんに出会えてよかったです。

ロッキーには思いっきり余生を楽しんでもらえるように、がんばって面倒をみます。
そして、ごくわずかですが、奇跡的に復活する猫もいるようなので奇跡が起こることを願います。

まだまだすごくつらいですけど、つらい顔を見せるより笑顔を見せたほうがロッキーも喜ぶはず。
今はまだ、悲しみはとっておいて、猫がいることの幸せをしっかりかみ締めておきたいと思います。

ロッキー、うちに来てくれてありがとう。

駄文で申し訳ありませんでした。最後まで読んでくださった方、感謝いたします。

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