簡単に言ってしまえば、分かりません。私たち町の臨床医は各々のウイルスを分離して感
染実験をするというようなことはないので。
ワクチンメーカー等の研究者が実施していてくれると、分かるのですが、ちょっと猫パル
ボウイルスを犬へ接種して感染させたという報告は、私は存じません。
しかしながら、犬のパルボウイルスと猫のパルボウイルスは、けっこう近縁なウイルスの
ように考えています。
というのは、７９年とか８０年とか、犬のパルボが猛威を振るったころ、まだ犬のワクチ
ンが入手することがかなわず、猫のワクチンを接種したというようなことがあったと聞い
ております。
また、私自身の経験としては、猫のパルボウイルス検査に犬用のパルボウイルス検査キッ
トを使用したところ、陽性反応が得られたことがありました。
ウイルスの研究をされている方に言わせると、犬と猫が共通の祖先から分かれて、それぞ
れの進化の道を歩き始めた頃に、犬のウイルスと猫のウイルスも同じように分かれて進化
の道を歩き始めたのではないかと解説されました。
パルボウイルスとしての共通する部分も持っているし、それぞれが進化の過程で獲得した
別々の部分も持っているということになるのでしょう。

ただ、これが豚のパルボウイルスということになると、豚には重篤な症状は示さずに発熱
とか流産死産がその主要な症状となります。
犬や猫の症状とはかなり趣を変えますので、こちらはこちらで、また別の進化をしてきた
のではないかと考えます。

問題は異種間でも感染するのかということではなく、ワクチンを正しく接種することで感
染を防止することは可能であるということにはならないでしょうか。
消毒だけでなく、他にも方法はあるのですから。