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意見交換掲示板過去発言No.0000-200603-274

RE フレンチブルドッグの麻酔について
投稿日 2006年3月30日(木)11時59分 投稿者 けりーずはうす

まず、どんな場合にも麻酔には危険はつき物です。100%安全なことはありません。
そのことはご理解ください。
なぜかというと麻酔に使用する薬はどんなものでも多少なりとも呼吸抑制や
循環器抑制があるのです。
また、稀ではありますが、麻酔に対するアレルギーを起こす事故もあります。

これらの危険因子を高くする要因のひとつが短頭種の場合はその特徴的な
体型にあるのです。

麻酔とは外科的処置を行なう時に動物(人も)に苦痛を与えないためもしくは
施術者が動物が苦痛で暴れて施術時の手元が狂ったりしないこと、施術者に
危害が及ばないために行なうものです。
麻酔を浅くすれば痛みに苦しみ、手術もスムーズにはいきません。

ご理解いただくために、麻酔をかける手順として
1、血液検査の実施(基礎内科疾患を見つけるため)
2、肺、心音の聴診(雑音、不整脈の有無の確認)
これらをした上で危険因子(年齢や犬種も含めて)がどの程度かで次に使う
麻酔前投与薬を決めます。
この前投与薬とはいわゆる鎮静剤や、鎮痛剤などを組み合わせて使用したりすることで
麻酔の量を減らすことができます。また、術後の痛みも軽減できます。
つまり危険性を低くするためです。
3、前投与薬の投与(この時点でも危険がないか観察できるようにしておきます)
4、麻酔(注射麻酔もしくはガス麻酔、後者が主流)
5、覚醒(麻酔が覚めてきたこと)

短頭種の場合、この覚醒期に問題が生じやすいです。意識が戻っているので気管に
入れられた管を苦しく感じ嫌がりますが、抜管すると眠たいので眠りますが
このとき、軟口蓋や気管に問題があると気管が塞がれるのですぐに
チアノーゼを起こしたりします。
抜管後危険とはこのことです。

この軟口蓋や気管の疾患はいびき、起きている時も呼吸と共にぜーぜー(ガーガーに
近いかも)と音がする場合は疑います。
気管の問題はレントゲンで診断がつきます。
また、軟口蓋の問題も麻酔をかけて挿管する際に診断がつきます。

いずれにしても、主治医の先生に、これらの診断がてら、もう一度
診ていただいてはいかがでしょうか。
そのうえで去勢手術するかどうかお決めになってもいいかと思われます。

注)麻酔の手順の1 2は前後しても全く問題ありません。
また、病気でなく手術する場合は、元気食欲あり(手術当日は絶食です)の問診は
必ず済ませておきます。

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