獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200606-28

re: 肉芽腫性炎(ダックスままさんへ)眼球敵出手術
投稿日 2006年6月2日(金)11時48分 投稿者 プロキオン

細胞診断の結果が「肉芽腫性炎」であれば、当面、その診断に応じた処置、つまり炎症
への治療を実施するということでよろしいのではないでしょうか?

投稿内容からは、病態から腫瘍の可能性も捨てきれないということのようですが、これ
は腫瘍が自壊して炎症を伴っているのかもということになるのかな??
でも、そのような場合は、何箇所か採材することで、おのずとあきらかになってくるは
ずです。
おそらく、肉芽腫性炎ということであって(炎症であって)、腫瘍ではないのではない
でしょうか、検査機関とて、迷うのであれば、再度の検査を勧めてきているでしょうし、
一応の結論としては、「炎症」ということのはずですよ。
眼球の裏、奥にできる炎症というと、ウサギではときおり遭遇することがあり、「眼窩
膿瘍」と言う例があると思います。
こちらの場合も、眼球が後ろから押し出されるような形になりますので、充血や流涙か
た始まります。後半では、眼球の裏から膿汁が排泄されたりします。眼球の裏の膿瘍に
切開をくわえて、膿汁を排泄させたり、洗浄をしたりすることになります。
理屈の上では、眼球組織や視神経に異常がなければ、視力は維持できるのですが、眼球
が押し出されくる間に結膜炎や角膜炎等で、視力にも障害が生じることが普通ですので
今は、視力維持にも手をつくされるべきかと思います。
眼球摘出という選択肢は、視力が維持されておらず、回復の望みもない、あるいは、炎
症が眼球自体にまで波及して、摘出した方が患者自身に利益となる状態にまで、進行し
てからということになります。
今、現在が、そのような状態であれば、選択の余地はありませんが、記載内容からは、
まだ、そこまで進行していないように受け取れました。

私は、ウサギにおける症例について述べておりますが、患者が犬であれば、ウサギには
使用できない抗生物質の選択できますし、炎症を抑制するためには、ステロイド剤はか
なり有効な薬剤です。このステロイド剤の使用を忌避することには、私見ながら、賛成
できかねます。むしろ、積極的な利用を図るべきかと考えます。

また、やむなく眼球摘出が選択せざるをえない場合ですが、眼球摘出手術は、好んで実
施したい手術ではありませんが、大学病院のような大きな病院でないと不可能と言う程
難しい手術でもありません。気持ちとして進んでは実施したくないというだけのことで
あって、街の臨床医でも手に負える範疇の手術です。
むしろ、完全な義眼を入れたりする場合の方が、「義眼床」を形成するための技術が必
要となりそうです。
眼球組織がほぼ正常な形態に保たれていれば、シリコンボールによる処置も可能になる
かもしれません。こちらの方が手がけてくれる先生が多いかもしれませんね。

ウサギでは、眼窩の奥にあるリンパ組織が化膿してしまってということになりますし、
牛でもやはりこの組織が白血病の際に腫大するということがあります。推測ですが、お
そらくは、このリンパ組織が炎症を起こして、「肉芽腫性炎」になってしまっていると
いうことなのではないかと想像します。

なお、余談となりますが、牛には「キャンサーアイ」という疾病がありまして、眼球に
扁平上皮癌ができてしまう疾病です。このような眼球自体における癌であれば、迷わず
にすみやかな眼球摘出を実施することが最善の方法となります。

最初の結論に戻りますと、「肉芽腫性炎」であれば、炎症の治療に尽力されるべきかと
考えます。

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