獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200608-18

かならさんへ〜避妊手術関連〜
投稿日 2006年8月2日(水)14時19分 投稿者 山下 貴史

かはらさん。返信遅くなってごめんなさい。山下です。

<発生率とかについて>
まず、500人に1人の発生率が多いか少ないかを考えさせていただいてよいでしょうか?これは「多いよねぇ」と思える数字なのです。うちの動物病院は前も言ったけど…獣医師が僕だけのとても小さな病院です。このシーズンですと多い日で70人ほど、平均で40人ほどの診療しか行なってません。全てがワンちゃんではなくて、まぁ半分ちょい・・・仮に25人くらいとしましょう。すると20日に1回は乳腺腫瘍に出会ってしまう・・・ということになります。そのうち半分は悪性で、さらにその半分は挙動が悪い・・・。おおまかにですが、月に1人の乳腺腫瘍のわんちゃんが来て、2ヶ月に1人の悪性乳腺腫瘍の子に&4ヶ月に1人は挙動(進行が活発とかそういうの)の悪い患者さんに出会ってしまう・・・。

って、考えると多くありません?

ですので、前にムクムク先生が話されていたように「健康な子の麻酔での死亡率909(910)人に1人」も確かに数字としては多いものと僕ら獣医師は感じるのです。(これについてはまたあとで)

ということを踏まえて・・・
>実際病院での患者数というのは(一概には言えないとおもうのですが参考までに)500/1といわれるより多いと思われますか?

に獣医師として個人的な意見をお答えいたしますと「500人に1人・・・確かにそんな感じだよねぇ」って思います。

それと先程の「死亡率」について、ちょっと個人的な意見を述べさせていただくと、健康な子の麻酔の死亡率に関しては「909(910)人に1人」ってのは多く見積もっているなと思っています。多分クソミソ一緒って感じで、「気をつけろよ!」って獣医師に言っているのではないかと…。(ちなみに同じ報告での猫さんのものは0.06%で半分くらいになっています。)例えば、うちの動物病院では年間で、のべ500人ほどの麻酔をかけますが、まぁ…何事もない健康な子を半分くらいとして250人。900人に1人だと4年に1人は麻酔での死に出会うってことですが、開業して7年でまだ幸い一人も出会ったことはありません。(術前検査で腎臓の低形成を見つけたりで、中止したことはあります。これやってたら死んでたろうなぁという子はいるんですね。)周りの獣医師たちの話を聞いていると・・・20年に1人いるかいないか・・・つまり5000人に1人・・・これくらいなら適切かな?・・・と思ったりします。
でも、動物病院は別に安全基準があるわけでもなく、健康ってだけで術前検査もなく、麻酔モニター全くなかったり、助手ならまだしも麻酔係もいなかったり、ガス麻酔はキライとかの個人的好み、手術にかける時間とか・・・・千差万別です。
ですので、前も言いましたが「術前検査や麻酔係とかも含めてある程度ちゃんとやってくれて信頼できる動物病院があるならば、避妊手術はするべき」というのが僕の意見です。「たかが麻酔じゃん」と術前検査もなく、助手(これはあえて付けない方法を好む先生もいるかも)や麻酔係もいなくて、でも低料金で良心的♪みたいなところには、僕は疑問を抱きます。でも外から見てもわかんないですけどね。そういうところでは909人に1人以上の危険率でしょう。でも「908人は無事終わるからいいのかな・・・」って人はそれはそれで良いかと。価値観はそれぞれです、ってフォローも入れてみたりして。

<飲水量について>
牛乳の件はさておき、飲水量の評価はりんママさんからご提示いただいた感じで良いと思いますよ?20〜90mlを1kgあたりで1日分って認識です。(りんママさんありがとうございます。)

<かはらさんが良い御家族かについて>
病気の不安にかられる・・・素晴らしいことじゃないですか?それで健康をチェックするようになる♪まったくもって良い御家族(飼い主)さんです!発情のチェックなんてそんなに誰でも確実にできるものじゃないですよ。出血くらいでしか一般には発見しませんからね。
でも、6歳の子ならあと10年ほどの、1歳のこなら10年以上の人生を考え直してあげれたから良かったじゃないですか!ちなみに、病気の予防のために全てがあるわけじゃないですよ?全ては人と動物たちのよりよい関係をいかに手軽にしかも継続していけるかってことで、つまりいかに手抜きして動物によいことできるかってことかなぁなんて思うことがあります。最低限やってあまり、人の感情移入しすぎずに(&擬人化)、自分の気持ちで育てるのかわんこを思って行なうのか・・・そんなとこですよね。
でも、最近の御家族さんはすごいなぁって思います。フィラリアの薬とか毎月1日も違わずにあげたりしちゃう!また、毎日お薬をちゃんとあげてくださる!・・・日記やブログを続ける自信のない僕には時に異常に見えるくらいです(良い意味で)。

<お世話係のチーちゃんのママさんへ>
追記のほう確認いたしました。獣医学は日進月歩(秒進分歩?)です。この意見もいずれ廃れますので、お手数ですが古くなった際には消してくださいねっ。それ以外はいくらでも転載でもなんでもOKです。

よろしくお願いいたします。

◆獣医師広報板サポーター◆
獣医師広報板は多くのサポーターによって支えられています。
以下のバナーはサポーターの皆さんのもので、口数に応じてランダムに表示されています。

サポーター:新日本カレンダー株式会社ペピイ事業部様のリンクバナー

サポーター:ペットコミュニケーションズ株式会社様のリンクバナー

サポーター:ペット用品通販Gズ\ィエ.COM有のリンクグオー

あなたも獣医師広報板のサポーターになりませんか。
詳しくはサポーター募集をご覧ください。

◆獣医師広報板メニュー
獣医師広報板は、町の犬猫病院の獣医師(主宰者)が「獣医師に広報する」「獣医師が広報する」
ことを主たる目的として1997年に開設したウェブサイトです。(履歴)
サポーター広告主の方々から資金応援を受け(決算報告)、趣旨に賛同する人たちがボランティア
スタッフとなって運営に参加し(スタッフ名簿)、動物に関わる皆さんに利用され(ページビュー統計)
多くの人々に支えられています。

獣医師広報板へのリンクサポーター募集ボランティアスタッフ募集プライバシーポリシー

獣医師広報板の最新更新情報をTwitterでお知らせしております。

Copyright(C) 1997-2024 獣医師広報板(R) ALL Rights Reserved
許可なく転載を禁じます。
「獣医師広報板」は商標登録(4476083号)されています。