獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200612-33

現在流通している狂犬病ワクチン
投稿日 2006年12月7日(木)12時22分 投稿者 プロキオン

>いぬままさんへ

どうも最初に見られた公立大学の記述というものが、古いデーターのままであって、現行
に即したものではないようです。
田舎の獣医先生がおっしゃられているとおり、現行の犬猫用の狂犬病ワクチンは、ハムス
ターの肺由来の培養細胞を用いて製造されています。つまり、「培養細胞製造精製ワクチ
ン」ということになります。
狂犬病ウイルスというのは、ちょっとばかり特殊なウイルスでして、神経組織にひじょう
に親和性があって、それ以外の組織を用いてもなかなか培養がうまくいかず大量生産がで
きなかったのです。それゆえ、犬が相手となるとワクチンが大量に必要(培養ウイルスも
大量に必要)ということで、脳組織を用いて培養されてきたわけなのです。
しかし、その脳組織の成分が製造されたワクチン内にキャリーオーバーという形でもちこ
まれやすく、その成分のためにアナフィラキシーの発生頻度も高かったわけです。また、
そのために肝心のウイルス量を充分量増やすこともできないという欠点があり、痛みや炎
症を伴う割りに、有効期限の短いワクチンとなりがちでした。
かつての犬のワクチンは、春と秋の年2回だったでしょう。現在は、製造方法が変更とな
り、ワクチンも変わったので、年1回の実施になっています。

つまり、そのくらい前にすでに狂犬病ワクチンは切り替わっているのであって、当時の在
庫が流通するとか、有効期限切れのワクチンを隠しもっていて使用するというようなまっ
たく考えられないことです。いくら冷蔵庫にしまっておいても、もうとっくにどうにもな
らない程に古くなってしまっています。
したがいまして、心配されているような製品が流通している可能性はありません。

やはり、最初に見られた大学の記述が過去の古い認識もまま書かれたもののように思いま
す。今のこういう機会ですから、狂犬病に不安を感じられる方はいらっしゃると思います
ので、その記述はあらためて欲しいですね。
犬の飼い主さんとしても、良い気持ちはしないでしょう。犬や猫も人間と同じように「培
養細胞製造の精製ワクチン」が使用されていますので、ご安心ください。

なお、狂犬病ウイルスは、神経細胞親和性があると述べましたが、この性質のために血液
中における免疫抗体の産生が他の疾病に比べて低くなりがちであって、充分な量の抗体の
維持も短くなりがちです。
不活化ワクチンだからということ以外にも、ウイルス特性として、年1回のワクチン接種
の継続が必要です。

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