獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200701-186

Re:猫のしこりと診断法
投稿日 2007年1月27日(土)12時14分 投稿者 プロキオン

「イボ」というのは、皮膚に生じた突起物状の組織であって、本来は角化した上皮組織が過剰に形成されたものです。
「疣状物」という表現の場合は、「疣」に似た形態・外観の組織を意味しており、その中には「疣」もあれば、腫瘍もあります

「にきび」は、皮膚の毛嚢(毛包)が細菌による炎症を起こし、炎症滲出物として白血球や細菌の残渣を貯留し、その貯留物のために皮膚表面が隆起したものです。これは、炎症であって腫瘍ではありません。

「疣」も「にきび」も当然ながら猫にだってあります。ただし、以下の所見はこれらに相当するかというとどうでしょうか、大きさと形態からは疑問を感じます。

>胸部右に大きさ一円玉位、高さ3〜4ミリのボタン状のしこりです。そのとき動物病院で触診を受けたところ、固着していない、根っこが繋がっていないのでイボだと診断されました

また、その組織が「脂肪腫」という診断がされているようなのですが、脂肪細胞は、非上皮性の細胞であって、これの腫瘍化したものが脂肪腫です。脂肪の蓄積とか脂肪組織が炎症を起こしてできたものとは異なります。この違いはかなりの違いですので、鑑別は大切です。直接皮膚に脂肪細胞が出てくるということは、どうでしょうか?

さらに、目の近くの「ニキビ」ですが、ニキビであれば、これは皮膚炎の一種なのですから、治っていくのが順当な経過と言えます。

>触診でしこりは固着していないから、根っこが繋がっていないから良性だという診断法はあるのでしょうか。それは獣医学の診断法なのでしょうか

非上皮性の細胞に由来する腫瘍が「肉腫」であって、上皮組織に由来する細胞が腫瘍化し、その悪性ものが「癌」ということになりますので、皮下と連絡しているか否かで良性・悪性を云々することはありません。皮下に繋がっていなくても「癌」が存在することは不思議でも何でもありません。
良性悪性の判断は、あくまでも腫瘍細胞の診断所見によって判定されます。

おそらく、皮下と繋がっていないから切除するのなら、苦労しなくても済みそうだくらいのことではないでしょうか?

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