獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200803-74

Re:猫のウイルスとオオシストについて(悩んでいます)
投稿日 2008年3月21日(金)11時27分 投稿者 プロキオン

猫のウイルスとオオシストとあまりに漠然とした質問なのでレスに困りました。

ウイルスは本来固有の宿主細胞がないと生存できない生命体ですので、猫のウイルスとなると人間に直接感染することの方が可能性としては極めて低くなりますし、ウイルスの種類によっても差がありますので、感染様式や宿主対外における生存期間にも相違があります。
また、もっとも重要な点はそのウイルスの感染や生存を許す環境(野良猫の生息状況やワチネーションの状況)がきわめて大きく左右するということです。感染の母集団を放置していたままであれば、個々の猫をいくら治療しても容易に清浄化を図ることはできないからです。
そういう点を考慮せずに人間とウイルスとの直接の関わりを尋ねられても確たるところは返答のしようがありません。各家庭で飼育されている1〜2頭についてであれば、ワクチンを接種すればよいわけであって、あまりに幅がありすぎます。原則的には「あまり考えなくても良いのでは」ということになりかねません。

病原体生存期間は、その存在する状態によって、十数分から数ヶ月(オオシストなら数年)までの範囲となってしまいます。
殺病原体ということになると、方法によっては数分で済みますし、やり方が悪ければ病原体の殺滅になっていないということも起こりえます。

人間がオオシストに接触することを心配されているようですから、猫のオオシストというのは、トキソプラズマ病のことを指して述べていることになるのでしょうか?
この猫のコクシジウム病については、そこまで心配する必要はないように思いますよ。この病気において猫が「感染力を有したオオシスト」を排泄できる期間は、あまり長くはありません。ごく限られた短い時期であって、常時「感染力のあるオオシスト」を排泄しているわけではないからです。
トキソプラズマ病における感染性オオシストの排泄は、免疫抗体を保有していない猫が初めて感染した場合の初期にしか見られないということになるとかんがえていただきたいですし、この病気に関してで言えば、むしろ人間が中間宿主であるという位置づけもあるくらいです。

猫を人間への感染源として気に為されているように見受けられますが、人間が敢えて動物側に濃厚な接触をしかけていかない限り、日常生活における手洗い等で充分に共同生活できますよ。

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