獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-201001-12

Re2:麻酔事故について
投稿日 2010年1月10日(日)02時57分 投稿者 らら

ご返信、ありがとうございます。
返信がおそくなってしまいました。

病院側とのコミュニケーションは、獣医師が複数の病院であり、
先生によって、対応もさまざまであったため、
はじめから、戸惑うことも多々ありました。

院長先生は麻酔に対して慎重であり、
A獣医師は手術に積極的でした。
A獣医師に、胃チューブについてお聞きした時も
早い時間に来ていただければ明日にでもいいですよ・・・といった感じでした。
それで私も簡単な手術なんだろうという先入観を持ってしまった気がします。
その次の診察で、別のB獣医師より
「麻酔のリスクは高いけれど、この子の場合はそうもいってられませんから」
という言葉をききました。なので、たぶん大丈夫なんだろう、という感覚でした。
もちろん、あらゆる場面で、危険度を確認しなかった私が悪いのですが。
他にもそのような手術をしている猫さんもいるわけだし・・・と。

癌がわかってから、2ヶ月ほど毎日のように通院していたのですが、院長先生とは
ほとんどお話する機会はなく、私にとっては遠い存在でした。
他の獣医師さんからは、
「食べれないことを自然死と受け止めては?」
「皮下補液だけして、家族との濃厚な触れ合いを・・・」
というお話は手術の前にもしていただき、
当初は私も対症療法のみで、ゆっくりと過ごさせてあげるつもりでした。
ですが、食欲はあるのに物理的に口が開かなくて
飢餓状態で苦しんでいるのを見て、急に方向転換をしてしまいました。
ただ、 「手術で亡くなる可能性があるなら、自宅で看取ることを望みます。」
この一言を公言しておかなければいけなかったのです。
住み慣れた家で家族全員で看取ってあげたかったです。
結果的に最後の3日間、病院に閉じ込めてしまいました。

もっと獣医さんと打ち解けてコミュニケーションをとることが出来ていたなら・・・
納得のいく看取りが出来ていたのではないかと思ってしまいます。
不安を感じていたのなら、転院をするべきでしたし、
愛猫の命を守れなかったこと、悔やんでも悔やみきれません。
何度も思い出すシーンは、低血糖で手術を中止した1日目、面会に行ったとき
A獣医師が説明に来てくださいました。「いやがらないで鼻チューブから飲み込みますよ。」「先生、明日はどうなるんでしょう?」と聞くと、「明日は、やります。」とおっしゃいました。その後、若いC獣医師がきてくださり、
「このミキサーで細かくした餌を食べさせてます。しばらく、この鼻チューブで様子をみるというのもひとつの方法なんですけど。」とおっしゃいました。「家でも、できるんですか?」
と私が聞くと、「ミキサーで細かくすれば大丈夫です。明日のこと、何か聞かれましたか?」「はい、明日は手術をしてくださるということです。」「そうですか・・・。」

そのときはわかりませんでしたが、彼は不安を感じていたんでしょう。手術は危ないとわかっていたんでしょう。しかし、立場上、公言できなかったのでしょう。どうして私はそれを感じとれなかったんでしょうか?
どうして私はその時、その日の血液検査の結果を見せてもらわなかったのでしょうか?
どうしてどれほどの危険が明日の手術にあるか確認しなかったのでしょうか?
どうして帰りたそうな顔で私を見ている愛猫を置いて、家に帰ってしまったのでしょうか?

この取り返しのつかない過ちを、私は生涯忘れることはないと思います。
私事の長文をお許しください。


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