獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-201106-21

Re:知りたいです。
投稿日 2011年6月17日(金)11時57分 投稿者 プロキオン

罪作りな火葬業者だと思いますね。

>葬儀屋さんは医者ではありません。
でも沢山遺体や遺骨を見られて来られたんだと思います。
もちろん末期の肝臓がんのワンちゃんの遺骨もです。

ここに大きな誤解があると思われます。死因の究明というのには、どうしても遺体が必要であって病理解剖を施す以外にはありません。病理解剖をしても、明らかにする事ができないこともあります。
それを遺骨だけを見て、診断を下せるわけがないのです。

私も以前、病性鑑定の仕事に携わっていた事があり、それも病理担当でした。そのため解剖した遺体を焼却することも、多かったものです。焼却炉は、直接バーナーで焼くにしろ、炉内温度をあげて蒸し焼きにするタイプにしろ、いずれの焼却炉でも、遺体を置く位置や上下差において、焼き上がりにムラがでるものです。これは、オーブンやグリルでも同じ事ですから納得していただけると思います。
私が在職していた施設の焼却炉は、二次燃焼装置までついた無炎無臭焼却炉でしたが、これだと完全に灰化するまでに時間がかかってしまうので、途中で炉を開けて、遺体の上下を入れ替えていました。そうしないと、下側になっている方が黒く残ってしまい、時間もかかるうえに見苦しいことになるからです。
そのようにしていても、最後まで残るのが頭蓋骨でした。重量も容積もありますから、これを完全に灰化するのは大変でした。
つまり、頭蓋骨の中に黒く残るものが出てくるというのは、道理からいって当たり前のことですし、片や肝臓は骨に保護されていない実質臓器ですから、燃えて残っていないというのも、当たり前すぎる話ではないでしょうか。

私の義兄は、脳幹部の出血で亡くなりましたが、頭蓋骨の中でも底の方で血管が切れたために手の出しようがない、脳幹部が病巣なので、すでに脳死であって、植物状態のような自立呼吸も期待できないと診断されました。
その義兄の火葬した遺体においても、脳の出血性病変というのは、確認できません。それは、火葬場の職員がきちんとした仕事をしたからです。生前の病苦まで、あの世や来世に持ち越さないように きれいに灰になるまで焼成するのが、火葬場の職員の仕事だと思いますし、そこで、死因にあれこれ自分なりの解釈を披露することが仕事ではありません。

火葬業者がよく口にする自前の診断根拠というのは、焼け残り具合のことですから、それは、遺体を置く位置やバーナーの位置、遺体の上下によって左右されます。言い換えれば、火葬業者によって特定の死因を作ることもできてしまうことになります。そのようなものは死因とはまったく関係もありませんし、根拠にもなりません。

業者が口にした「脳梗塞」であれば、脳の血管が詰って、そこから先に血液が供給されなかったことを意味しますから、「頭蓋骨の中が蜘蛛の巣を張ったように真っ黒で、」という表現とまったく相容れません。また、生前の臨床症状が麻痺を伴うわけですから、こちらも一致しておりません。
痙攣というのは、けりーずはうす先生が仰られている血液中のアンモニア濃度が上昇していたのではないかという見解の方が妥当なように思います。

さらに言及するなら、肝臓の中に複数の腫瘍病変が存在したのであれば、かなり進行した状態であったことでしょうし、腹水も存在したのであれば、これは肝臓の腫瘍というだけでなく、癌性腹膜炎の可能性というのも考えられないことではありません。
少なくとも、こじさんご自身が黄疸が進行していく様を確認されておられるわけですから、肝臓に異常があったことを疑いのないところではないかと考えます。まして、レントゲンやエコーで確認されているのであれば、なおのことです。

腹水を抜くための利尿剤が黄色かったということと、ウコンが結び付けられて記載されていますが、これはそちら先生からウコンが処方されているということでしょうか?
抜かなくてはならない量の腹水が存在したのであれば、その状態は、腫瘍細胞が腹腔内にばら撒かれてしまっていると考えた方が合理的であって、ウコンでどうにかできるというのも考えがたいと思われます。本当に処方されていたのか、あるいは、希望をつなげるためなのか、そのへんも合わせてのことかもしれません。いずれにせよ、そちらは、主治医の先生に確認された方がよろしいのではないでしょうか?

結論とすれば、火葬業者の言葉に耳を貸すべきではないと思います。なぜ、そのようないいかげんな事が言えるのかいうことになると、証拠である遺体が燃えてなくなってしまっているからです。
肯定も否定も、証拠が無くなってしまっているから、無責任なことでも言ってしまえるのです。
でも、今回のケースでは、レントゲンやエコーの画像も残っているでしょうし、なによりも、こじさんご自身が黄疸の進行を目の当たりにしているではないですか。こじさんご自身が肝臓に異常があったことの証人なのですから、無責任な人間の言葉にまどわされてはならないと思います。


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