獣医師広報板ニュース

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Re:野良猫や脱走猫の移動の習性について
投稿日 2013年8月17日(土)10時30分 投稿者 プロキオン

猫の行動範囲については、とくに雌猫ではあまり広いとは言えませんし、自らの行動圏に執着する傾向があるようです。

他所から来た猫が、その場所に居ついてしまっているというケースでは、縄張りをもった猫達の「町内送り」にあってしまって、帰宅する道を失ってしまった場合とか、人間や車によって現在地から帰宅する道が分からなくなってしまったというような場合が一般的とされています。

簡単な例をあげますと、交通事故にあった猫が親切な人に保護されて、動物病院にもちこまれたような例があります。このような場合ですと、その猫は自宅へ帰ろうとせずに、そのまま居つこうとしたりします。おそらく、ここで生活していくことができるのであれば、敢えて危険な思いを繰り返そうという気持ちがなくなっているのでしょうね。
また、団地などへ捨てられた猫というのも、誰かしら食べ物を与えてくれるので、団地内で他の猫との小競り合いはあっても、食べる順番ということで折り合いをつけてしまったりします。これらの猫は、団地の敷地外へは冒険しようとはしないものです。例外とすれば、自らの居場所と雌を求めて若い雄が無謀ともいえる勇気に突き動かされたり、他の有力な雄に追い出されるかのように出立するくらいだと思います。

お話の猫は、首輪をしているということですので、もともとは飼い猫だったのでしょうが、先にあげた「町内送り」と「アクシデント」による帰宅路の喪失以外にも、自らの意思による「家出」というパターンと、飼い主の転居に際して、猫を「回収し損ねた」、あるいは「置いていかれた」というものもあります。

「家出」の場合では、飼育されていた家庭内において、人間の赤ちゃんが生まれたとか、新たに犬とか猫の飼育が始まったというような理由で、居心地がわるくなったと感じて、自らの意思で棲家を変えてしまうものであって、元の家からはある程度の距離をおいた場所へ移動してしまいます。
飼い主の転居にもとづくパターンでは、逆に、猫は遠くへは移動しようとしないもののようです。

いずれにせよ、そこに居ついているという理由は、猫本人に聞いてみないとわかりようがないですね。
気になる点として、かなり痩せているようですが、単に餌が不足しているというのではなく、何かしらの疾患を抱えているかもしれないという点です。
外猫というのは、野良猫は言うまでもありませんが、かなりのストレスにさらされており、寿命も短かったりします。当然、病気にも罹りやすく、痩せている原因の中においても、それなりの比重を占めていると考えられます。

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