獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-201501-107

Re5:ニューキノロン系抗生物質について、ご教示下さい。
投稿日 2015年3月28日(土)11時24分 投稿者 プロキオン

>>その菌がずっといると考えるべき
>と言う事は、今回もニューキノロン耐性菌の可能性もあるんですね。。

分離されている細菌がブドウ状球菌であれば、そもそもが常在菌ですから、可能性は高いと考えておいた方がよいでしょう。0にするのではなく、増殖させないという方向での対応をということになると思います。

>>ニューキノロンに対して薬剤耐性が増えているという印象は、私にはまったくありません。
>との事ですし、恐らく愛犬が稀なケースなのですよね。。

う〜ん、ここはなんとも言えませんね。私のレスは私の個人的な経験の範囲内のことですので。そんなに増えてはいないであろうとは考えていますが、いずれは増えてくることでしょうし、私が経験していないだけかもしれませんし。


>その細菌が何であって
1回目の感受性検査は、菌同定検査もして下さり、[Staphylococcus intermedius]感染でした。
2回目の感受性検査は業者さんが変わってしまって、菌同定検査はありませんでした。
今回は2か月前から結晶&結石(最大φ6mm)が出ており、尿検査をしても細菌感染は陰性でした。それが2週間前から細菌感染してしまって、ダメ押しされた感じです。

この細菌は、面倒な菌ですね。昔は、「白色ブドウ状球菌」「黄色ブドウ状球菌」の分類で始まっていたのですが、それだけでは治まりがつかないことが多くなって菌種まで確認が必要になってきました。
それと同時に、細菌が分離されなかったという事実は、細菌が存在していなかったとはイコール(=)ではありません。
結核菌に代表される抗酸菌の仲間は、分離する検査材料の処理や分離用の培地のPHに大きく依存します。分離方法が確立されるまでは存在していても分離培養ができない細菌でした。同様に出血性増殖性腸炎の原因菌とされるキャンピロバクターも、病理組織検査では腸粘膜にいるところを染色されてその存在が証明されていたのにもかかわらず、容易に分離されないという時期がありました。ウサギにおけるパスツレラ菌も、臨床の先生達が採材した鼻水からはなかなか分離されないことが多かったです。
パスツレラ菌は、他の細菌を分離したい場合には、じゃまになるくらい増えてくれる菌ですし、特別な培地も必要ないくらいの菌なのですが、これはおそらくはウサギに遠慮しての採材になってしまっているのだと考えられます。
尿中からの細菌分離となりますと、その尿が検査材料として適していなかったというケースも考えておかないとなりません。


>3)については質問が中途半端で申し訳ありません。
愛犬がAとして、他のBもCもDも同じ薬剤の耐性菌だった場合(=地域的流行の兆しがあると判断される場合)、薬剤選択を変えるきっかけになる割合は、どの程度の患畜が感染した場合になりますか?と言う質問でした。

こちら意味も一応は考えたのですが、「地域的な流行の兆し」というのをどのように定義するかの基準がないのです。2〜3頭の複数であるということでよいのか、2桁の数なのか、3桁とするのか…。
ここでもおそらく臨床医が1人で遭遇する範囲内ということになるのでしょうが、私自身はあの患者にもこの患者にも、この薬が効かないという事態に追い込まれたことがありませんから、どうせ今回の患者にも効かないだろう別の薬を最初から使おうというように考えたことはありません。
つまり、お答えしようがないのですね。この質問に関しては、そのような経験をされている先生でないと返答しようがないように思います。


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