昨日、私は「本当の客は獣医師である」と書きましたが、ここをもう少し補足しますと、獣医師が信奉者になってくれると、その病院でも必然的にホメオパシーを広めてくれるわけです。
そして、大元のところでは、「ただの水に滴下するもの」がさらに売れることになるので、獣医師への信頼と権威を利用した販路開拓となりますし、クレームがあっても動物病院がその責を負ってくれるという形態ができることになります。

権威の利用ということになりますと、ロイヤルアカデミーにも認定されているとよく宣伝されていますが、ロイヤルアカデミー自体は元々は民間のもので居酒屋が発祥です。
ヨーロッパでペストが流行した当時、相次いで大学が閉鎖されてましたが、学問の研究は中断してはならないという理由から、ボイルだ、フックだ、ニュートンだとそうそうたる面々が学問の継続を呼びかけました。そうして、居酒屋で生まれた集まりが次第に大きくなって、時の王室がそれを後押しするようになって成立したので、ロイヤルアカデミーと称しています。
自由な学問の場ということで、設立条件を満たしていれば、どのような団体であれ加盟できます。この点は、日本学術会議も同様であってホメオパシーを研究しようという団体も加盟していたはずですよ。

そもそも医薬品の認可となりますと億を単位とするお金がかかり、安全性試験や臨床試験を経る必要がありますから、２・３年〜１０年くらいの時間が必要とされます。
医薬品でないものやサプリメントであるとかになりますと、これらは必要ありませんから、エンドユーザーの手元に届くまでの時間と経費が極端に少なくてすみます。
以前、中国からの輸入品で痩身サプリメントというものがありましたが、これは確かに効果があると評判になりましたが、実は成分に甲状腺ホルモンが含有されており、代謝活性を促進するものだったので、確かに効果はあったと考えられます。が、実際には医薬品成分が入っていたため死亡事故が発生して、問題が発覚しました。
これは、経費と時間を惜しんで収益を得るためにおきたことでした。
その一方で、「効果の無いはずのもの」に、あたかも効果があると第三者に信用させるにはどうしたらよいかを示したひとつの方法でもあったわけです。

大勢の人達を騙しとおす事は難しいものですが、それが一部の特定の人達であれば、案外簡単にできてしまうのです。
権威を利用する、サクラを仕込んでおく、トリックを使う等々です。
一つの事に興味をもって、真面目に学ぼうとする人達というのは、気持ちがその時点で受け入れる方向で動いてしまっていますから、容易に信じてしまうようなのです。

でも、冷静に考えてみれば、「水」の特性というのは、さまざまな物質の溶媒として機能にすぎません。
何かの効能効果というのは、水に溶けている物質が作用して発現している効果なのです。
水を飲んで美味しいと感じるのは、水の温度と溶けているミネラルの味なのです。それが証拠に何も含まれていない蒸留水を飲んでも、それこそ「水みたいな味」であって、おいしさは感じられないはずです。
水は、水としての機能をもっており、それ以上でもそれ以下でもないというのが化学的な事実でないかと思います。少なくとも、水には記憶力はないでしょうね。