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ペットロス(メモリアル ルーム)掲示板過去発言No.0100-200412-11

一人の男と二頭の犬のはなし
投稿日 2004年6月2日(水)00時13分 投稿者 翼

チャッチは雑種の女の子。
初めて会ったのは俺が7歳のとき、知り合いの家で産まれたのをもらって来たんだっけ。
ちっちゃくて可愛かったね、最初の夜はお母さんが恋しくてピーピー鳴いてたね。
俺がずっと抱っこしてあげてたんだよ、覚えてる?

ある日学校から帰ると真っ白なムクムクのカタマリ・・何これ?
捨てられてた子犬を姉が連れてきたらしい。
やれやれ、チャッチが来てから3ヶ月もたってないのにまた家族が増えちゃった。
名前は・・・男の子だし、ムクムクだからムク!決定!

もう16年前のはなし。
あれから随分長い時間を一緒に過ごしたんだよね。
想い出は多すぎてとても書き尽くせないよ。
まるで兄妹みたいに育って・・・いいや、君たちはホントの兄妹だね。
いっぱいいっぱい家族に幸せ運んでくれたね。

獣医になりたいと思ったのは21歳のとき。
正直不安だったよ。
高校にも行かずバカみたいな生き方してきた俺が獣医になんかなれるのかってね。
最初に君たちに相談したね。
「俺、獣医になりたいと思うんだけど、どう思う?」
「・・・」
「やっぱ無理かな?」
「・・・」
「やれるとこまでやってみようかな?」
「・・・」
ただいつもの笑顔でしっぽ振ってただけだったけど、こう言われた気がした。
「私は(ボクは)いつだって翼の味方だよ、頑張って!応援してるから。」
そのとき決心したんだ、何年かかってでも絶対獣医になってやるって。

ムクが死んだのはそれから5ヵ月後、2002年2月1日。14歳だった。
あまりにも突然だったね、1週間前まで元気だったのに・・・。
死因は肝臓に障害があるってことしかわからなかった。
いまだに後悔していることがある、それはムクを苦しませて死なせてしまったこと。
最期は苦しかったね、辛かっただろう?
あのときのムクの苦痛に歪んだ表情が目に、苦しいよってあげた叫び声が耳に焼き付いてどうしてもはなれない・・・。
あのときもっと自分に知識があれば、助けられなくてもせめて楽に眠らせてあげることが出来たんじゃないかって・・・ごめんね。
それから1年、俺は必死に勉強して東京の獣医科大学に進学した。

チャッチは癌に侵されていた、でも頑張ったんだよ?
ムクが先に死んじゃったから、私が頑張らなきゃって。
翼がちゃんと自分の道を歩き始めるまで、側にいてあげなきゃって。
チャッチがいてくれたから俺は頑張れたんだ。
離れて暮らすようになって5ヶ月、最期にチャッチに会ったのは2003年の9月だった。
病状は目に見えて悪化していた。乳腺腫瘍だったのが腋下リンパに転移して、片肢がほとんど動かせない状態だった。
それでも俺が帰ると、その肢引きずりながらも出迎えてくれたんだよ。
散歩させてあげた、最後の散歩。もうこれが最後だって、俺にはわかった。きっともう会えないって・・・涙が止まらなかった。
俺が東京に戻ってから2ヶ月後、2003年11月11日。チャッチは15歳と9ヶ月でこの世を去った。

チャッチとムクは俺に尽きることのない愛情を与えてくれた。
この愛情を、他の犬たちに分け与えていくことがこれからの自分の使命だと思っている。
獣医になって、たくさんの犬を救いたい。
もしかしたらその犬が、誰かの人生を変えるかもしれない。
チャッチとムクが俺にそうしてくれたように・・・。

チャッチ、ムク、今までありがとう。
大丈夫。もう一人で歩けるよ、遠くから見守っててね。



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