獣医師広報板ニュース

災害と動物掲示板過去発言No.0700-201104-71

サーベイメーターと救護シェルターその2
投稿日 2011年4月8日(金)15時52分 投稿者 プロキオン

救護のために何かして欲しいという要望は3月12日の時点から、この掲示板にも届いており、この掲示板の立ち位置というのは、そのときからすでに述べられています。獣医師広報板もこの掲示板も、公的なものではなく、みな民間であり個人にすぎません。
その立場というのが、どうも誤解されているかのような投稿が見受けられます。その点は誤解されたままだと話が食い違って進みません。

さて、救護シェルターについては、どこにどのように立ち上げるのかということがあるのですが、私もすでに考えていたところがありました。もっとも、それは私のオリジナルな考えではありません。「大震災の被災動物を救うために  1月17日から9月15日まで」という本の中に記述されている内容です。
ここに記載されていた手法であれば、資材の準備が整えば半日から1日あれば、立ち上げは可能です。
けれども、実際に被災地で進行しているのは、私の思惑とは少し違った様相で進んでいるようです。被災した獣医師が立ち上げてた救護センターが、すでに6〜7箇所くらい活動を始めているようですし、動物愛護センターも同時に動いています。

救護活動は、これだけの規模の震災ですから必ず長期化します。先にあげた本における活動も、混乱から復興へむけてのものですから、被災地で暮らす獣医師の先生方が、日常生活の中で、動物達を診療していくことが可能な状態となるまでの期間を下から支えることも必要とされています。
シェルターの設置を経ることなく、被災地の獣医師の先生方によって動物達の診療ができるのであれば、それは話とすれば早いと言わざるを得ませんし、また、被災地から設立を報告されている先生もいらして、獣医師会を通さない支援というのも、すでにそちらへ流れ始めています。
診療器材や検査機器の補充というのも、あちこちに散らばってしまうよりも1箇所に集めて、被災した先生方がシェルターに交替でつめて、診療に当たるというのを私は考えておりましたが、すでに獣医師間の個人ネットワークで救護センターの流れができつつあります。
動物病院の8割から9割近くが、獣医師1名のワンマンプラクティスで成り立っています。だから、自分の患者を放り出して、被災地に長期間留まって、支援をすることは、なかなかできないことです。それゆえ、支援物資をリレー形式で搬送したりして、被災地で暮らしていく先生を助けようとしています。
そのような私設救護センターであっても、獣医師であれば、現地の愛護センターと連携できない謂れはありません。半官半民であっても、救護センターとしての機能は逐次整っていってくれるのではないかと期待してもよいかもと思っています。

(人間の)大学病院に勤務している薬剤師に友人がいます。彼は、第一次隊として被災地に派遣され、同じ病院の医師も二次隊として派遣されました。その報告において、避難所で他県の複数の医師団といっしょになるのだそうです。同じ避難所で他の県の医療チームといっしょになって鉢合わせするだけでなく、同じ被災者にそれぞれがAという薬を処方して重なってしまったり、どういうわけか異なるBというまったく違う薬を処方してくる医療チームもあるのだそうです。不合理で無駄が多くなるので、情報を一元化して共有するシステムと採るべきだというのが、その派遣された医師の言うところでした。
この患者情報の共有化が必要であるという意見からも、私はシェルターがよいのではないかと考えていたわけなのですが、1人の人間が多数の患者について状態が把握できているかも問われなくてはなりません。
目の届く範囲の数の動物を獣医師の先生が看てくれるのであれば、それもあながち悪い事ではありません。どちらがより望ましい結果に繋がるかは、やってみて事後の判断を待った方がよいのかもしれません。

福島県の被災地で原発周辺に入っている団体や個人、おそらくこの人達にはお互いに連携と協力をもって救護所を開設することはできないのではないかと想像しています。
一つには、仕方ないことと言えますが、どうも短時間でそこを出たいように思えます。2つ目に強力なリーダーシップを発揮してお互いをまとめて1つにするという事ができる傑出した人物がいるかという点。3つ目にそれぞれの思惑というか理念に相違がありすぎて、1つになることをさまたげているのではないかという点です。
猫の捕獲保護には、時間がかかりますし、牛のような家畜は連れ出すのも容易でなければ、避難先での管理も経験が求められます。
そのまま原発周辺で継続的な不安を抱えたままでいるよりは、やはり県内でも、もう少し距離をとってもよいかもしれないし、それができないのであれば、物資や飼料の輸送ボランティアでも放射線という人間の五感では感知できない脅威を学んでもらう必要もあると考えられます。
私は、動物の体内被ばくの可能性を危惧していますが、よほど原発周辺の濃度の高い地域に近づかなければ、そうそう起きる事でもないはずです。しかし、それでも動物おいては人間よりもその可能性は高いと考えておかなくてはなりません。
まず、ある程度のまとまった期間を同じ場所から動かさないようにして、尿や便等の排泄物を検査しつづけることしかないと思います。排泄物から放射線が感知されたのであれば、被ばくを起こしている元素の正体を時間がかかっても調べる事必要があります。元素の種類によって、また、それに応じた対応を考えれば良いのです。
排泄物から放射線が検知されなければ、どのような検査を何日間実施したという証明書を書いてあげれば良い。証明書も個人が書くのよりも県の名前があった方が良い。やはり愛護センターとの連携は必要なのではないかと思います。


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