獣医師広報板ニュース

災害と動物掲示板過去発言No.0700-201107-16

進歩か逆行か
投稿日 2011年6月20日(月)05時36分 投稿者 ペット防災ネットワーク 

勝手レスキューする人のどれだけが、その動物と飼い主が再びともに暮らすことに努力しているか疑問です。
飼い主がもう飼えないと悩んだら譲渡の仲介、それでいいんでしょうか。
動物だけ助けて飼い主を助けない、それでいいんでしょうか。
仮設住宅でペットを飼える道はついています。生活再建しながらの暮らしですからペットのことのサポートが必要です。散歩係をする、遊び相手をする、近隣の迷惑にならないようトレーニングをする、フードの支援、通院の支援、いろいろなニーズがあります。
そこに踏み込まずに、保護と一時預かりと譲渡にしか目を向けていない人ばかりのように思います。

困難にあったら動物の所有権を放棄する、そういう流れを当たり前にしてはいけない。
日頃、愛護団体の多くは終生飼育の大切さを訴えるけれど、災害時になると簡単に譲渡対象にしてしまうことが多すぎる。
飼うのが大変な人のところにいるよりも、余裕のある人に飼われるほうが幸せという意見は空恐ろしいです。

中越大震災以降、災害時のペットの扱いは飛躍的に進歩しています。
すみやかに保護場所が設定され、それまではタブーだった仮設住宅での飼育が当たり前のことになり、取り残された動物へは、そこが危険な場所であっても給餌が行われるようになりました。
ここ数年、環境省はじめ行政は災害時動物救援にめざましい進歩を見せています。それはすべて、雲仙普賢岳噴火、阪神淡路大震災の犠牲と教訓によるものです。
多くの人と動物が亡くなった悔恨を次代につなげるために、動愛法に災害時対応が盛り込まれ、自治体の地域防災計画に加えられるようになったのに、その大きな進歩に逆行するようなことを勝手レスキューはしているとしか思えません。

ボランティアと称する者たちが助け出して面倒見てるなら行政は動く必要がなくなります。そういう時代に戻っていいのでしょうか。
取り残された動物を勝手レスキューする行動は2000年の有珠山噴火や三宅島噴火のときにもありました。避難勧告や避難指示の出る災害においては、今後もそれは繰り返されていくと思います。
動物の命を助ければそれでよしではなく、災害がもたらした飼い主さんと動物の苦難を助ける方向に行かないといけません。
レスキューに向かう行動力と、それを応援する人たちの物心両面のエネルギーを、動物の命にだけでなく、飼い主と動物に向けていかないと、この国はいつまでたっても人と動物の関係がよくならないでしょう。

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