獣医師広報板ニュース

災害と動物掲示板過去発言No.0700-201107-35

Re:人として
投稿日 2011年7月25日(月)11時35分 投稿者 プロキオン

投稿のタイトルが「人として」となっておりますが、まさしく人間の本性が現れる事態が起きてしまったということだと思います。かかる事態に直面して、各個人の本性が温度差として現れるということについては、私は是と考えています、100人が100人同じ考えを持っているのであれば、その方がおかしいし、不自然ですので。

>ただ警戒区域から動物を助けてる人を〔彼等の思いつき〕とは思いません。私財投げうって助けてる人も居ます。全てまとめて一緒ではありません。

私はまとめて一緒にしているつもりはありませんし、おそらく他の方もそうだと思いますよ。日本人の多くはイベント好きで一過性の事に反応しがちです。前にも反論がありましたが、本当に犬の命が救いたいのであれば、毎日全国各地で処分されている犬を救うので良いのです。けれども「崖っぷち犬」に象徴されるように、ただの野良犬がマスコミに取り上げられたことで、飼育希望者が殺到するところに、この国の動物に対するかかわり方の問題点が現れてしまっています。
この掲示板で指摘している事は、犬であろうが猫であろうが、飼い主と伴に暮らすことであり、一過性の気持ちで関わる事でありません。
と、同時にこの一過性の「可哀想、助けてあげたい」という多くの気持ちや善意を利用しようとする者が出現することがあるわけです。この掲示板で「思いつき」と指摘しているのは、そのような者達を言っているつもりです。
簡単に言えば、わんちゃんが最初に投稿されてきた某テレビ局が放映した2頭の犬についても、それは言えるのではないでしょうか。犬の画像はテレビだけではなく、ユーチューブでも繰り返しダウンロードされ、多くの人々が心配しましたが、助けた人がいるという話がネットで流され、その後一転して、本当に助けられたのかどうか分からないとなり、寄付金を募ったことが非難されています。なによりいけないのは、事実がどうなのかが一切不明であることです。
本当に救助されているのであれば、寄付を集めてしまっているからには、事後報告があってしかるべきですし、仮に犬が亡くなっていたとしても寄せられた善意に対しては謝意が述べられてもよいのではないかと思っています。
犬や猫のレスキューには、ずっと以前から、寄付を前提としたものが多く、自立していない事が極めて多いのが実情です。そういう人物や団体にとっては、今回のような震災は寄付金集めのまたとないチャンスであって、わざわざ警戒地域の犬を連れてくるだけのメリットがあることになります。
犬を救うのではなく、犬に巣食うということですね。そんな活動が存在していて欲しくないというのが、ここで語られている事なのです。寄付を寄せたいのであれば、人的及び金銭的な管理運営計画をしっかり明示しているところにしないとなりません。

>政府は隠ぺいし警戒区域がどうなってるか隠してる。テレビでは死体は映されない。日本なのに?国民が何も知らされる事が無いどこかの国みたい。日本は自由じゃないの?忘れられる動物達。

この辺りのお話は、なにも動物に絡める必要はなくて、人間そのものが我が身の心配をされた方がよいかと思います。
一昨夜のNHKスペシャルで、飯館村のことを取り上げていましたが、その中の農家の方の一言が印象的でした。ハウスの中のタバコの苗を抜いて捨てている際に若い農家の方が「土が汚れているのだから、何を作ってもどうしようもない。」と吐き捨てるようにつぶやいていました。そう作柄なんて関係ないのです。ホウレンソウやお茶が問題ではなく、そこの土で作れば、みんな摂取するわけにはいかないのです。牛の方も、この番組に限らず、さまざまな番組で出荷されていく映像が流されてきました。それ以前にもあちこちの食肉検査所では、福島の牛ではないかと疑われる牛達が搬入されていました。そして、何も異を唱えることなく解体処理されて肉になってきていました。東京都の食肉検査所のある誰かが、やっと放射能検査にかけてくれたので、それこそ内部被ばくしている牛肉の全国への流通が明らかになりました。
番組の中では、その農家の方は、東京電力に呼び出されて、ホールディカウンターの検査を受けたそうです。そして2200という数値だけを告げられて、文書は交付されなかったそうです。
知らされていないとか隠されているというのであれば、人間そのものの心配をした方がよいのではないかと思います。放射能汚染マップを見れば、何も福島だけの問題ではありません。東京だって東部にはかなり数値の高い地区が存在しているわけであって、決して他人事とはいえません。一般人の年間許容線量が1ミリシーベルトですから、これを365日と24時間で割れば0.11マイクロシーベルトの線量が検出される場所は、避けた方が良いといことになります。もっとも、この数値で直ちに健康に被害がでるということではありません、これ以上は浴びない方が良いと洋の東西を問わずに言われている数値です。


>お偉いさん何か決める時会議してからなんて言ってれば警戒区域は屍地獄。もう間に合わないけど。子供達に聞かれて何て答えていいの?

これは私は3つの意味から何かを決定する事を避けているのではないかと考えています。
当初から、私は予想できることを告げてきましたが、それで何がどうなったわけでもありません。牛も犬も猫も、そして人間も内部被ばくしてしまうことは予測できることでした。特別な人間が予測できたというわけがありません。誰しもが予測できたことなのです。それがそのまま放置されていたということになります。何故なのでしょうね?
別段、政府が意図的にしてきたわけではないでしょう。責任を負う覚悟がない者が大勢いたということだと私は考えています。と、同時に動物に限って言えば、さまざまな思惑をもった者達が大勢いたことも否めません。では、動いた方が責任があるのかと言えば、これもまた否としか言えません。後先を考えない行動も私は無責任だと思っています。(実際に警戒地域の牛達には給餌されたことによって、斃死したと考えられる例もあるはずです。それは牛の生理機能を知らない者によって引き起こされます。)

本当に動物達のことを考えるのであれば、災害の起きていないときから、考え、そして何をしたらよいのかの手順を作成しておかないとなりません。この掲示板は、そういう事の話し合いのために作られています。
神戸があり、雲仙があり、三宅島も新潟も北海道もありました。それらの災害があって、どのれだけの人が有事に関心を持つように変っていったのか、そして、この震災をもってどれだけの人が動物と一緒に暮らすということの意味を考えるようになってくれたのか、そこを知りたいと思います。
活動するしないの以前に、考えてくれるようになった人がどのくらい存在するのかという時点のお話なのです。一過性で終わらせないためには、原点こそがしっかりとしていないとならないのです。

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