獣医師広報板ニュース

災害と動物掲示板過去発言No.0700-202101-4

Re3:被曝動物と汚染瓦礫の拡散
投稿日 2011年11月7日(月)11時37分 投稿者 プロキオン

「放射線取り扱い主任者」の免許には、密封されていない放射性核種を扱うことができる「一種免許」と、密封されている核種を制限量まで取り扱うことができる「二種免許」と、さらに特定の放射線源を装備した機器についてのみ取り扱うことができる特定線源装備機器に限定した免許とがあります。
最後の免許は、先に書きましたニッケル63を装備したガスクロマトグラフ等がこれに該当しますが、私が受験した当時には、この免許はまだなかったので、合格率25%の試験を受験せざるをえない状態でした。
私自身は、翌年に家畜衛生試験場(現:動物衛生研究所)における9ヶ月の長期研修も受けているのですが、私と同期の生化学検査担当者の長期研修では、前半の期間が、この放射線取り扱い主任者の受験のための集中講義に当てられていましたので、それを知ったときに少しうらやましかったです。そうすれば、私も1人で勉強する必要も無く、仲間と勉強できたのにと思ったものです。
が、当事者達にしてみると、県の予算で研修に来ていて、それで試験に落ちたら立場ないということで、むしろ1人でこっそりと受験したかったと言っていました。この場合の合格率は50%で、普通よりはよかったようです。
私の少し上の世代から、やや下の世代であれば、この資格にチャレンジしていたかと思いますが、それより下の世代となると特定線源装備機器の研修でそれまでよりは、簡単に資格が手に入るようになりましたし、もっと言えば、分析そのものがガスクロマトグラフから液体クロマトグラフに変ってきてしまっています。こちらは、資格を必要としませんから、有資格者の数は徐々に減っていっているかもしれません。
そして、真偽の程までは分かりませんが、チッチさんのお住まいの県では、放射線取り扱い主任者免許を取得すると、次期の昇給予定が6ヶ月短縮されるという話しを当時耳にしたことがあります。そちらの県からの研修生がいなかったので、確認はできませんでしたが、前年か前々年の研修生がそのように言っていたという話が伝わっていました。おそらく、合格率がはかばかしくないので、進んで手をあげる者がいないので、目の前にニンジンをぶら下げる必要があったということになるのかもしれませんね。


閾値以下の放射線がどのような影響を与えるかについての研究というと、私は以前に広島及び長崎における膨大なデーターがあるので、病理組織学的なレベルにもちこむのでないと牛や豚を調べたところで、あらたなものは出ないであろうという主旨の発言をしています。今もその考えに変りはありません。
狙いが「生かしておく」ことですから、研究と称する事は本末転倒だと思います。「生かしておく」が目的となると、金銭面で希望がもてないので、研究目的と言うお題目をかかげなくてはなりません。でも、それが隠しようも無く透けて見えてしまっているから、スポンサーがなかなか名乗りをあげてくれないのでしょう。
私は、正直に「死なせたくなから、寄付をよせてください」と言った方が、まだ個人の寄付があつまるように思っています。他人のお金を当てにするのであれば、まず、正直であって、その目的にどれだけの人が賛意を示してくれるかではないでしょうか。
家畜の廃用の判断とそれを畜主に告げる事は、大動物診療医にとっては、とても大切な仕事です。そこを誤ってしまうようでは、それ以後相手にされません。
ずっと自分が世話してきた家畜ですし、それまでその牛や豚に食べさせてもらってきたわけですから、畜主にしても、そうそうドライに割り切れるものではありません。自分の他にも当該動物のことを知っていて、冷静な判断をしてくれる獣医師に言われて、「やっぱりそうだよな」と自分を納得させているのです。
福島に大動物獣医師がいないわけじゃあない、いるからこそなんです。廃用を勧めることは、その前提に畜主との信頼関係があってのことです。これだけ広範囲で大掛かりな事態となってしまうと、個人と個人の信頼で成立する話の範囲を逸脱してしまっています。だから、声が出てこないのだと思います。その声が出てこない事の意味を獣医師なら、理解できようというものです。

昨日の新聞に福島からの視察団がチェルノブイリに行ったという記事がありました。そこで目を引いたのが、「土壌を剥ぎ取る除染が否定されていた」ことだそうです。
「そんなことをしたら、どうやって生きていくんだ?」というのが現地の農家の説明だったそうです。
これは、地表の土壌というのが、植物を育てるための力をもった土壌であって、その表土を失った土では、作物は育たないからということでした。約20年ほど前、アメリカでも灌漑によって表土が流出してしまう問題に悩まされていました。日本でもNHKが「エロージョン」と称して、NHKスペシャルで特集したりしていました。
チェルノブイリでも、いまだに放射能問題が残されており、現地の人々はそこで生活していくために、「表土の消失」を望まなかったということのようです。福島からの視察団の方が、「除染で片付くものと思っていたが、それでは片付かない問題があるんだ。」と記事が締めくくられていました。山と海が繋がっている以上に、山と農地も繋がっているし、山、農地、海の生態系が汚染されたことの影響はとても大きな事ではないかと思います。

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