獣医師広報板ニュース

イヌ掲示板過去発言No.1100-199905-59

ワクチンについて
投稿日 1999年5月13日(木)18時00分 正太

こんにちは、通りすがりの正太と申します。
いつもではありませんが、楽しく拝見させて頂いております。
 早速ですがワクチンについて色々記載がありましたが、お節介ながらもう少し補足(修正?)
させて頂きます。

生まれたばかりの子犬は母親の母乳を飲む事により、母乳免疫の恩恵を受ける事になります。
この免疫量は母親によって異なりますが、これが多すぎるとそれが効いている間のワクチンが
効かないという不幸が発生します。
母乳免疫はその内、自然消滅しますので「免疫が無い」という結果が生じてしまいます。
(後述の理由から特にパルボウイルスで、この現象が多い。)
 さて昨今7種混合ワクチンの接種が一般的ですが、この7種病原体は母乳によって邪魔される
時期が異なってきます。
例えばジステンパーの場合は生後6週目で第1回接種を行うと50%の確率で免疫が出来ますが、
パルボウイルスの場合は同時期に接種しても25%しか出来ません。
この事からワクチンによって、各々の病原体の免疫が完全に作られる時期を計算すると、生後
6・9・12・15週目の4回と、パルボウイルスのみの為16〜18週目の間に1回、計5回
の接種が理想的と言えます。
ただし一般的には、ワクチンが終了するまで飼い主が感染の機会を減らすように注意するので
あればと言う前提で生後8・12・16〜18週目の計3回を行えば良いでしょうと言われる事が
多いと思います。
初年度のワクチンは効果を確実にする為、数回の接種が必要ですし、1回目が仮に母親の母乳に
邪魔されなかったとしても、1年以上強力に続く免疫を作る為には少なくても2回以上は必要と
考えます。

長くなりますが、用語も簡単に説明しておきましょう。
ワクチンというのはそもそも、病原体そのものが本当に襲ってきた時の為の予行演習を生体にさせて
本番に備える為のもの。したがって、その練習に用いる道具としてのワクチンは本物の病原体に近ければ
近い程、より実戦的であり有効といえます。
さて、ワクチンで練習すると生体は学習します。要は一度あった敵に対して専用の武器をあみだすのです。
これが抗体です。

●生ワクチン  :病原体
●不活化ワクチン:菌を殺した物
●トキソイド  :病原体そのものではなく、その病原体が病原体である理由となる毒性の分泌物の
         こと。たとえば、ボツリヌス菌は菌の増殖そのものよりも菌の出す
         ボツリヌストキシンという毒素が問題。だから、十分に菌が増えた後に殺菌だけ
         しても毒素が残ってれば中毒が起きてしまう。

ワクチンにもいろいろあり、原因菌に対するものと、その菌から産生される毒素に対するものもある
のです。ちなみに病原体を弱めてあるものは「弱毒化ワクチン」と呼びます。
生ワクチンは生体が弱っていると「病原体」その物だけに発症する危険性を伴います。

>hiroさん
 以上の様な説明で納得して頂けたでしょうか?

>showさん
showさんが狂犬病は生ワクチンと言われていますが、これが事実なら怖い話しですね。
狂犬病は昭和30年代に撲滅されたと言う事になっておりますが、これではいつまた出て
来るのか不安です。(今問題になっている天然痘ウイルス廃棄問題を思い起こします。)
ましてや人にも感染する法定伝染病なのに・・・。

>keatonさん
生ワクだから1回で抗体が終生できてくれるという事は決してありません。逆の事もままあります。
そもそも何故抗体ができるかというと、病原体が自分(自己)とは異質なもの(異物)でありそれを排除
する為の道具として抗体ができるのです。
なので、まずどれだけその病原体がより異質なのかが抗体のできやすさに関係してきます。より目立つ姿の
病原体の方が抗体はできやすいということです。生の状態だと目立たないけど、ちょっと加工(放射線や化学処理)
すると目印がよりクリアーになり抗体ができやすくなることもあるのです。
あと、それが一回できた後、果たしてどれだけ続くものなのか?これもむづかしい問題ですが、より目立つものに
対してはより長期に抗体が維持されるのは確かでしょうね。

以上、随分長くなってしまいまして申し訳ありません。より専門的な説明を求められるのであれば、獣医師の
コーナーの方が良いかも知れません。それでは。

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